横浜に新たな陽が昇った 高見享介、逸材ロサを圧倒TKO

 

 

そういうことで昨日のトリプル世界戦、感想続きです。
WBAライトフライ級タイトルマッチ、エリック・ロサvs高見享介戦は、ドミニカと日本の若き逸材が、存分に力と技を披露した末、高見が10回TKO勝ち。
10勝8KO無敗の戦績で、世界タイトル初戴冠となりました。


先に紹介したとおり、センス抜群ながら、攻撃的に闘う...闘いすぎる、と今時の物差しで言えば言えるチャンピオン、ロサは、今回もこれまでどおりのボクシングを、横浜BUNTAIのリングで披露しました。
もっと外し、翻弄しにかかるボクシングをやろうと思えば出来るはずだが、そういう気がない。
外した後、打ち込みたい。左ボディアッパーの威力で相手を弱らせ、カウンターやコンビネーションの後続打を決めたい。
その闘いぶりは、昨今珍しいなあ、と思うほど。傍目のファンから言えば、見ていて楽しい、好ましいのも確かなのですが。

しかし、対する高見享介は、ライトフライ級の全コンテンダー中、抜きん出たスピードとパワーを持つ大柄なボクサーファイター。
この相手にも同じように対して、中間距離で激しい攻防を繰り広げた結果、待っていたのは極めて厳しい結果でした。


序盤から、ロサの左右ボディ攻撃、上下コンビに対し、高見は右フックを外から、ボディブローを下へ返し、インサイドへ、という攻撃で対抗。
ロサの攻撃、その軸となる左ボディアッパーと、高見の右ボディブローが、相撲で言う「喧嘩四つ」の様相で飛び交い、結果、打ち勝ったのは高見でした。

ロサはダメージを溜め込んでいき、高見の左フックを上に返され、徐々に右クロスも打たれるように。
それでも足使って捌き、下がるという選択をしない。中盤以降、7回はボディ打たれて腰を引いたり、後退を「強いられる」ように。
こうなってから下がっても遅い。というか、はっきり劣勢になっている。

9回、高見優勢。10回、ロサも果敢に返すが、右カウンターをアゴにねじ込まれ、前にのめってダウン。
再開後、また打たれてもつれ、スリップダウンしたところで、レフェリーがダメージを見て、TKO宣告しました。

 

高見享介、鮮烈なTKOでの初戴冠となりました。
その試合ぶりは、ホールで堀川謙一や川満俊輝を圧倒したのと基本的に同じでした。
速くて重いパンチを惜しげも無く繰り出し、どんどん攻めていき、さらに後続の攻撃を加速させていく。
相手がさらにグレードの高い選手だったので、10回までかかったが...という。大まかに言えばそんな感じでした。
これがジョナサン・ゴンサレスやレネ・サンティアゴみたいな風味付けの相手だったらどうなったか、というと...これまでは微妙な気もしていましたが、今回の様子を見ると、多少苦しんだとて、踏みつぶしてしまうことでしょう。

何しろ、自分の良さを思う存分に出し、そのまま攻めきって勝った高見の姿は、その若さや風貌、元気一杯の振る舞いなど、まさに輝かしいものでした。
例えばこの試合が、昔日の事情のもと、日本テレビのゴールデンタイムで全国生中継でもされていようものなら、その人気、知名度は相当なレベルで広く浸透しただろうなあ、などど思ったりもしました。
何しろ、自らと同じ、歳若い逸材との真っ向勝負で堂々と打ち勝ったのだから、まず100点満点の勝利、戴冠でした。
全試合終わったのち、メインと対比すると、まさに新旧、世代交代の一日だったのかな、ということも含めて、鮮烈な記憶として残る、そんな試合でした。


今後については、減量は楽では無いでしょうし、まだ身体が出来てくる余地も感じます。
ちょっと気が早いかもしれませんが、注目点は、誰と防衛戦か、統一戦か、ではなく、フライ級にどのタイミングで転じるか、その時の情勢、相手は?というところでしょう。
帝拳所属ということで、マッチメイクは良く言えば常道を征く、悪く言えば慎重過ぎる傾向がありますが、若さと伸びしろに賭けて、早いタイミングで大胆な決断があってもいいのでは、と思います。
帝拳ならそのくらいで丁度良い(笑)というのも含めて、ですが。