世界戦レベルで要注目 130ポンド級大会、4強激突

 

 

さて今日は、一千万円賞金トーナメント、スーパーフェザー級準決勝の日です。
池側純、今永虎雅の防衛戦がメインとセミですが、事実上、メインは日本ボクシング界のボリュームゾーンたる、130ポンド級の国内ランカー、4強激突となる二試合であります。


アマチュア時代から逸材として名高い、強打のサウスポー木村蓮太朗と、ファンに数々のスペクタクルを提供してきた、脅威のシャープ・シューター渡邊海。
年齢は29歳と23歳、心技体の完成度、体格や強打の面で、出来上がっているのは木村の方か。
しかし渡邊は、いわば伸び盛り。さらに、試合毎に鋭いカウンターを振りかざすばかりでなく、左リードの充実、冷静なポイント計算も身に付けている。
トーナメントということで、「次」を視野に入れて闘う余裕がどちらかに生まれる可能性はあるが、後先言ってられない激戦になることも、大いにありそう。とにかく楽しみな一戦です。


もうひとつの準決勝は、一年のブランクを経て、この大会優勝で一気の捲土重来を期す「ミライモンスター」松本圭佑と、メキシコ帰りの勝負強いファイター、木谷陸。
「再起戦」となった龍王(中井龍)戦で、やはり強いところを見せた松本に、「来日」後、3連勝の木谷がどう迫るか。
予想はおそらく松本に傾いているでしょうが、相当な意気込みであろう木谷が、距離を潰してサイドから食いつくように攻め立てたら、番狂わせの可能性もありましょう。
松本がそうなる前に止められるか。入られた後に、腕を巧く畳んでショートで打ち勝てるか。
中学生時代の試合映像で、長短の打ち分け、距離の切り替えがすでに熟練の域にあった松本ですが、その良さを木谷が封じられるか、という点に注目です。

 

Leminoプレミアムの配信は17時45分から。
タイトルマッチ二つに、この準決勝二試合で充分見応えアリですが、さらにアンダーはヘビー級アジアチャレンジカップで健闘した大沼ケンと、松田尚之の一戦が最初に来る。
再起路線のホープ、荒竹一真の試合も。相手のカート・ジョン・ハブラルは、北野武郎と打ち合ってスプリットで敗れたサウスポーで、世に言う「噛ませ」さんではないフィリピン人。
試合数は6つですが、見応え充分なラインナップです。Leminoフェニックスバトル絶好調、という感じがありあり。今日は、ではなく今日もまた、楽しみですね。

 

 

 

見た目通りに重くては アンディ・ルイス、2年ブランク明けで判定負け

 

 

さて土曜日の午前中、元世界ヘビー級チャンピオン、アンディ・ルイスが2年ぶりの試合で、ポーランドのダミアン・クニバに判定負け。
それも、序盤から長身のクニバに距離を支配され、ジャブで遮られて、ボディからの攻撃も少ないまま、失点を重ねた上で、7回には猛攻を受けてダウンし、事実上のロングカウントに救われて判定まで生き延びる、という...一言「ええとこなし」という負け方でした。

 

脂肪の皮を被った狼、とでも評すべき、見た目からは信じられないスピードの右クロスや左フックで相手に襲いかかった、かつての姿は見る影も無く、本当に、見た目どおりに鈍くて重い。
この体型からして、長期ブランクの錆を落として、ベストな状態に仕上げるには、相当ハードトレーニングをこなしていないと無理だろう、その闘志や意欲が、今のルイスにあるのかどうか、と思っていましたが、蓋を開けたら残念な方の想像が当たっていました。

アメリカ国籍ながら、ルーツのあるメキシコ初の世界ヘビー級王者を自認自称する、ヒスパニックの人気者。
アンソニー・ジョシュアとの再戦を落としたあとの三試合も、ノンタイトルながらなかなかの好待遇を得たそうですが、なまじそういう状況だからこそ、という面もあるのでしょうね。
今回の、あまりに見るところのない敗戦で、その辺もだいぶ変わってしまうのでしょうが。

 

 

アンダーでは、昨年末のサウジ興行で今永虎雅にダウンを与えて勝ち、次の試合でZuffa興行に登場も、タフでラフなアンドレス・コルテスに攻勢を許し敗れ、キャリア2敗目を喫したサウスポー、エリドソン・ガルシアが登場。
サウスポーの強打で売る、アルゼンチンのアラン・チャベスとの対戦は、いわばBサイドとしての登場でしたが、何と4度のダウンを奪って大差の判定勝ち。びっくりしました。

 

 

返しの右フックがよく当たっていましたし、一瞬のスピード、精度が、強打者チャベスの防御技術を凌駕した、というしかないのでしょう。
しかし、こういう試合を見ると、昨年末に対戦した今永も、この相手にダウンを奪われるまでは、速いパンチで優勢に立つ場面もあったくらいだし、惜しい星を落としたのだな、と今更ながら思います。
あの試合に競り勝っていれば、今頃、注目の強打チャベスを破って、世界的に注目されていたのは今永だったのかもしれないのですから。


まあ、そんな繰り言を言っても仕方ないです。
再起戦で強敵、仲里周磨に競り勝った今永は、明日、初防衛戦を迎えます。
相手は日本人との対戦も多いお馴染みの顔、ジュン・ミンホ。
ここは快勝して、これならエリドソン・ガルシアと再戦しても、今度は勝てる、と思わせてほしいですね。

 

 

快勝を求め過ぎた? 超特急サウスポー、イタウマ初黒星

 

 

そんなことで先週、PPVパスして、結果だけ先に知ったのですが、その時点で当然ながら大いに驚かされた、モーゼス・イタウマとフィリップ・フルゴビッチの一戦、金曜日にアーカイブが置かれました。
ようやく今日になって見ることが出来ましたが、もちろん結果は皆さんご存じの通り、フルゴビッチが予想を覆しての9回TKO勝ちでした。

 

 

 

序盤からイタウマが、逆ワンツーや右フックなど、いつもどおりヘビー級の常識を超えた速いパンチを好きに当てて行くが、フルゴビッチのタフネスを打ち崩すには至らず。
イタウマは快調そうに見えたが、中盤に入る前から口が開いていて、普通に見ればタイトルマッチの重圧か、相手もタフだし、で済むところ、6回くらいから目に見えて失速。
フルゴビッチのパンチを避け損ね、打たれる場面がある。
7回はそれなりにやり過ごしていたが、8回に連打で攻めた後、ロープを背負った位置からフルゴビッチの右を食い、そこから攻められる。
場内騒然となる中、9回に左右をヒットしていながら、自分の方がよろめいてふらふら、大ピンチ。
異様な展開に追いやられたイタウマ、下半身が突っ張り、上体を支えられない。ロープ際に押し込まれて、二度攻められたところでセコンドがタオルを入れました。


フランク・ウォーレンは、最後のラウンドとなった9回に、イタウマが足首を負傷したと示唆したようですが、具体的な言及は、他にはないようです。
まさかまさかの結果でしたが、内容的にはフルゴビッチも認めているように、イタウマの技量力量がフルゴビッチを上回っていました。
言えばイタウマの自滅、というべき試合だったと見ます。
ホープとしての期待を背負い、快勝を求め過ぎたが故にガス欠を起こした、ということでしょうが、加えてこれまで経験していなかったタフファイトに疲弊した、加えて足首の負傷?といった要因が重なった、ということでもあるのでしょう。


本人はSNSで、潔くフルゴビッチの勝利を祝福し、気丈に再起を宣言しました。
しばし休息、或いは負傷の治癒を経て、再び起つときに、どのような姿で戻ってくるのか、注目です。
無敗ではなくなったが、ホープの才能、輝きを失わず、さらに厳しい経験を血肉として、一回り大きく成長した姿を...と、気が早いですが、期待してしまいますね。

 

 

 

またも新世代、KOでアピール 伊藤千飛、7連勝で日本の挑決へ

 

 

そんなことで先ほど終わったばかりの、U-NEXTダイナミックグローブ感想です。
試合前に触れておこうと思ったのですが、ブログ書く暇が取れず、見終えてから書いております。


寺地拳四朗とのスパーで評判を取ったとか、坂井優太とのライバル関係とか、色々トピックのあるホープですが、WBOアジアタイトル獲得の初回KOで、一気に注目され、今回はダイナミックのメイン抜擢。
相手は7勝4KO1敗1分のクレア・ビィラロサ、小柄ながら構えが良く、伊藤の打ち終わりにしっかり狙って振ってくるなど、悪い選手ではない、という印象。


しかし伊藤、ジャブのタイミングが抜群に良く、ビィラロサも外す手立てがない様子。
伊藤がなまじ、ボディ打ちや右クロスに手応えがあるもので、それにはなんとか対応していたが、もし伊藤がもっと、ジャブ中心で当てていったら、もっとワンサイドになるのにな、とさえ見えました。

伊藤はやはり、新生代の台頭が目覚ましい昨今、負けじと自身の存在をアピールしたいと意気込んでいたのでしょうが、良し悪しあるなあ、という。
とはいえそれが勝敗に影響はせず、3回、ボディからのコンビを打ち込み、ビィラロサの反撃が大振りになったところを見逃さず、右カウンターで仕留めてのTKO勝ちでした。


アマチュア有望選手の大半が、首都圏の大手に所属するなか、それに対抗出来るレベルのホープが、神戸のジムで頑張っているのは、関西のファンとしては嬉しいことです。
しかし、その地理的ハンデというのはどうしても現実にあり、ひとつの試合にかかるものの重さも、伊藤千飛は実感しているのでは、という印象でした。拙い試合はひとつたりとも出来ないぞ、と。
その重圧をものともせず、見事に倒して勝った伊藤、やはり逸材なのだな、と感心しましたが。


次は日本タイトル挑戦者の座を争う試合に出るようですが、その場合、WBOアジアは保持したままになるんでしょうか。
日本タイトル挑決のカードが、同時にWBOアジアタイトルマッチになる、という話は、さすがにほんまかいなと。
まあ、実情というか、ぶっちゃけた話すれば「そういうもの」でしかない、と誰もが内心、思ってはいるんでしょうけども。

かといって、伊藤が返上して、他で決定戦、となる、というのも、それはそれで。
まさかそれを坂井優太が、誰かと争うという「運び」だったりとか。いかにもありがちなお話ですが。
ここで「おお」というカードが組まれたら、まだ納得もしますけど。それこそ栗原慶太と、とか。無いですかね...。

 


セミの金子虎旦は、両拳の負傷明けの試合。
韓国のチョウ・ジョンヨンに初回、左ストレートでダウンを喫したが、最終8回までに立て直し、二度倒して追撃、逆転のストップ勝ち。
あれ、サウスポーこんなに苦手なのか、とひやひやしましたが、何とか立て直すあたりは、心身ともにガッツを感じるところ。
最後は意地というか、一応ジャブで叩いておいて、クールに締めるのかと思ったら、やっぱり行きました。それでこそ。

しかし、また拳が痛かったのかな?とか、WBOアジア挑戦となると、相手が村田昴に勝ったガブリエル・サンティシマ...サウスポーだけど大丈夫なんやろうか、とか、ちょっと心配なところもありますね。

 

 

昨日は、先週PPVをパスしたイタウマ、フルゴビッチの配信があったり、今日、土曜日はアンディ・ルイス久し振りの試合があったりで、色々見ないといけない試合が沢山あって、全然追いついていません。

おいおい感想書いて行こうと思っております。色々話題もありますしね。

 

良いものを見て来た子供達 藤木勇我、二戦目に快勝

 

 

さて、ダブル世界戦は望外とも言えるレベルの好結果がふたつ並びましたが、試合前は何ならこの試合がこのイベント開催の「主眼」ではないのか、とさえ思った注目のルーキー、藤木勇我のプロ転向二戦目。
相手のジュフェル・サリナというサウスポーは、頑健さといい身体の力といい、普通ならとても二戦目で当てる相手ではなかったですが、藤木が力と技の両方で大きく引き離した上でのストップ勝ちを収めました。


メインの吉良大弥を見ても思ったことですが、要は「井上尚弥直撃世代」の良さが存分に出ているなあ、と。

打ち終わりのバックステップ、或いは立ち位置の変更を意識した上で放つ、サウスポー相手の左ジャブリード。
相手のボディ打ちの大半を受ける、しっかり締めたガード、ブロック。
防げると判断したら止まり加減だが、少しもらうと、サイドに回って相手の攻撃を切る。
右をワンツーで当てる。そうかと思えば、意図的に「手打ち」の右を最短距離で通して当てる。
または右を捨て気味に、左アッパーの後続に繋げる。攻め口が多彩。
大半を防がれるサリナの攻撃のうち、まだ当たっていた方の右フックを綺麗に外し、右ボディアッパー。
レフェリーが分ける前、ついでに顔にも一発。
さらに右フック外して右カウンター。右アッパーを見せておいて、サウスポーの泣き所、レバーへの左フック。
ボディ攻撃を増やしていき、右ストレート連発。ロープへ詰めて連打。
ロープ際で止まって誘い、右アッパー。

5回のフィニッシュはボディから右ストレート上に連発、打ち返すサリナにカウンターで右が決まって、遂にダウン。
レフェリー、即ストップでした。


やることなすこと、逐一、目を引くものばかり。
意図があり、狙いがあり、良い組み立ての連続。ただ感心させられっぱなしの展開。
打った後は動く。良い攻撃は、防御の備えと意識あらばこそ。
強振するパンチをいかに「伏せ」るか、或いはいかに「見せ」るか、を意図して攻め、守っている。
ガードやブロックの防御と、足を動かすこと、どちらもやれる。
片方に依存する、或いは選択する旧弊から、完全に脱している。


まさしく、井上尚弥という「良いもの」を見て、育ってきた世代...チルドレン、だとか、遺伝子を受け継いだ、とか、表現は様々に出来ましょうが、そういう子供達の代表格、それが藤木勇我なのだろう、と実感させられました。
デビュー戦では相手が頑張ることも出来ず終わった感がありましたが、ジュフェル・サリナの奮戦あればこそ、見えてきたものがある。
井上尚弥が、長きに渡る拳歴で見せてきたものが、新たな世代に、確かに引き継がれている。それはきっと、日本ボクシングの未来を明るく照らすことでしょう。
そして、控えめな表現過ぎるかもしれませんが、少なくともその一端を、藤木勇我というボクサーが担っていくことだろう。そんな風に思いました。

 


今後については、ライト級で続けて欲しいと変わらず思いますが、タイトルとなるとSフェザーに落とす、という方針のよう。
一部、記事にもなったWBOアジア王者、大畑俊平戦か、或いは他のタイトルか。
いちファンとしては、この辺のクラスで最短記録とかいうのは、やりようもないことだし、じっくり普通の試合の数を重ねていくのも良いのでは、と思います。
その過程で、もう一回り、大きく強い身体を作って、ライト級、ないしは...という期待をします。藤木勇我、次の試合が早く見たいですね。

 

 


アンダーカードは、日本ミニマム級タイトルマッチ、森且貴vs杉浦義が終始打ち合いの熱戦。
ひとりが森を支持した、1-0のマジョリティドローで森が防衛。森は二試合連続ドロー防衛となりました。
森は以前より、足とジャブが進歩し、打たれる頻度が下がって、ペース配分が上手く出来るようになりましたが、パンチ力に欠ける泣き所も変わらず。
杉浦は打たれることを覚悟して攻めるタイプで、そこに踏み込まれて攻められ、競った試合になってしまう。
ここを何とか出来れば、この先、この上の話もあり得るんでしょうが、はてさて...難しいところです。

 

大橋蓮と北本慶伍の無敗対決は、2回早々、バッティングで大橋が負傷し、続行不可能のドロー。残念でした。
第一試合の嶋田淳也は、タフなタイ人、サタポーン・サアートを2回、左フックから右ショートクロスの速いコンビでノックアウト。見事でした。ちょっとびっくり。失礼ながら。

 


平日、横浜BUNTAIの興行で、盛況という客入りだったかどうか、ちょっとわかりにくかったですが、試合内容は充分なものばかり。
ことにダブル世界戦は、改めて予想外に良い結果で、衝撃的な内容でもあり。
進行面では、セミが初回KOで終わったので、セミとメインの間の30分休憩がありましたが、これは仕方なし。
終わるのも早かったし、良い興行だったと思います。
Leminoの視聴者数も、かなり良かったんではないかと。
どういう期限で区切っているのかわかりませんが、今日、金曜の時点でも「人気ランキング」で1位になっています。嬉しい事ですね。

 

 

言葉を失う戴冠劇 石井武志、65秒でメンデスを倒す

 

 

セミの感想ですが、感想と言ったって...というような試合でした。
技巧派サウスポーの元王者、ウィルフレド・メンデスのジャブや足捌きに切れが出るよりも先に、勝負して打ち込む、と腹を決めていた石井武志の強打が、メンデスを捉える。
右ショートを打たれて膝をついたメンデスの様子が、ボディを効かされ、何なら肋骨を傷めたボクサーのように見えて、どういうことかと首を捻っていたら、そのままカウントアウト。
スローリプレイを見ると、その前に小さい左のレバーパンチが強烈に決まっていて、これで止まったところに右が頭部に、というノックダウンでした。


もちろん、世界戦の舞台となれば、普段より数割増しの力を出すボクサーはいるものです。
トレーニングの密度、濃度が全然違うだろうし、指導や対策もレベルも上がるのが一般的。
とはいえ、これまでの石井武志に、世界とつく試合のハードルを勝利で越えるという想像はしにくかった、というのが正直なところです。
メンデスが良いの悪いの言う以前に試合が終わってしまったこともあるし、今後についてどう見て良いのかはわかりません。


しかし、この日この試合については、脱帽するしかありません。お見事でした。
決意とパンチの強さでまさる石井武志が、堂々たる勝利を掴み取った、という理解で良いのでしょう。
実際、一打の「決定力」の凄さは、これまでの試合でも格下相手には発揮されてきましたが、元王者クラスにも通じたわけ、ですから。
今後はコンテンダー陣にも警戒され、対策はされることでしょうが、生半可な対応では保たない相手もいることでしょうね。

 

会場には、このタイトルの前王者で、タイトルを返上した松本流星もいたようです。
9月27日のWBO暫定戦に松本が勝てば、オスカル・コラーゾがリカルド・サンドバル戦のリングに上がり、試合が始まった時点でWBA、WBOの王座がそれぞれ、石井、松本の手に入る。そういう運びになる「はず」です。


国内での対戦が無かった両者ですが、それぞれに、タイトルの価値を高めるためには、統一戦の実現が必要ではないかと思います。
もちろんコラーゾが去るのなら、階級最強と目されるべきペドロ・タドゥラン攻略も、期待したいところですね。


何しろ、選手層がどうのとか、最軽量級は何かと軽視されがちなところもありますが、ちゃんと上澄み同士が対戦すれば、充分に「世界」を感じる、見応えのある試合は見られるはずだ、とも思っています。
コラーゾみたいに、強いのにプロモーターの囲い込みもあって、そういう試合をなかなかやらない王者には、残念な思いが募るばかりでしたが、次の時代はそういうことのないように願いたい、ですね。

 

 

間を変えて、狙って倒す 吉良大弥、元王者カニサレスをKO

 

 


ということで昨日のLeminoプレミアム、ダブル世界戦ですが、予想以上の好結果が並びました。
順番に感想書いて行きますが、メインの吉良大弥から。


減量が苦しいと、今回の水抜き云々以前から知られ、本人も語っていた吉良大弥ですが、緻密なプランで減量をこなし、それが成功してか、コンディションは良好。
程良く張りがあり、無茶に大きくはなっていないが、身体に力を感じる。

対するカルロス・カニサレスも、一見して良い体を作っている。
日本へのフライトは政治的影響で40時間を越えたそうですが、早めの来日でもあって、調整も問題無さそう。

 

ところが試合としては吉良のワンサイドになっていく。
カニサレスが悪いとは見えないが、吉良がジャブからボディ、右ロング。
カニサレスの打ち終わりに、ゴロフキン風の、斜め上から振り下ろす左フックのカウンターを決める。
なおかつ、打った後の外しも怠らず。足から外せて、上体は柔軟。ガード、ブロックもしっかり締めている。

3回、カニサレスの右ロングを吉良が外して左フック。
オフバランスになったところ、頭部右側にヒットして、カニサレスダウン。
4回、吉良がカニサレスの右を外して、3パンチのリターン。
一発を狙い過ぎず、速いコンビを打つ。冷静かつ鋭い。

このまま快勝ペースかと見えたが、5回、カニサレスが挽回を図って出てくると、少し足が止まり加減に。
左フックの迎撃でヒットは取るが、これは敢えて受け止めているのか、それとも?と。
6回も、さらにカニサレスが出る。吉良は大半をガードし、左フック決めるが、カニサレスが前に来るので、打ち抜きを効かせる間が取れていない。
カニサレス、少ないながらも右のヒットがある。

迎えた7回、吉良は一押し、スタンス広め。
この回も同じように止まり加減か、と見えたが、解説の長谷川穂積が「もう一回、距離を戻すと思います」と言った直後、吉良が大きめにバックステップ。
上体を小さく左に振ってから、カニサレスの出鼻に、振り下ろしでなく、水平な軌道の左フック、カウンター。
これが見事に決まってカニサレス、二度目のダウン。これはダメージ甚大、立ったもののレフェリーが止めました。

 

左フックカウンターの狙いは、試合全体に渡ってありましたが、一打で相手を倒すには、打ち抜きを効かせる間が少し足りない、そんな位置関係が続いてもいました。
しかし吉良は、速いコンビやボディ攻撃を見せつつ、この左を決めて倒すために、ラウンドによっては受け止めの構えで相手を引き寄せ、その上で、打ち抜ける距離を作って倒す狙いを、終始持ち続けていたのでしょう。

とてもではないが、キャリア5戦目の選手の仕業とは思えません。
例えば田中恒成の初戴冠試合と比べても、全体の「余裕」が全然違っていたと思います。
カウンター狙い、一発のセンスのみならず、それ以外の部分...防→攻の切り換えの鋭さ、パンチの精度、防御でも見えた冴えなど、全てにおいてレベルの高い、充実したボクシングを披露しました。
これまでの相手とは一段違う強敵のはず、元王者カニサレスを、まるで凡庸なベテランのようにさえ見せてしまう。
その闘いぶりは、過去の試合では充分に表現されなかったものを、様々に見せつけるものでした。お見事、でした。

 

 

試合後はLeminoのコメンタリーも触れていたとおり、遠からずフライ級に転じるべき体格でもあり、しかしあと一、二試合はライトフライで闘えるのなら、統一戦等々も...と、今後について明るい展望が語られていました。
試合映像が(断片的であっても)世界中にすぐ広まる昨今、あのフィニッシュシーンは国際的な注目を集めるでしょう。


WBC王者岩田翔吉(左手負傷、しばしブランクか?)、WBO王者レネ・サンティエゴ(WBAとは、この王座を巡って対立中)、IBF王者タノンサック・シムシー(9.26静岡で防衛戦)らとの対戦はもちろん楽しみですが、出来れば早々に、フライ級での挑戦があってほしいと思います。
本来なら昨日、吉良と対していたはずの日本人キラー、サンティアゴ攻略を託したい気持ちはありますが、あのタイプ攻略を、きつい減量の末に期待するというのは、ファンの勝手が過ぎる、かもしれませんね。


フライ級なら、ちょっと嬉しい噂?も聞こえてくる矢吹正道がいます。
1位ミエル・ファハルドを退けたあとに、というならビッグマッチでしょう。
アンソニー・オラスクアガに挑むというのも、可能性としては充分あり得そう。
リカルド・サンドバルは、事実上、幻の王者と化していますので、脇に置いとくとしまして。


何しろ、予想以上の内容を見せた上での、見事な勝利でした。脱帽です。
ニュースター誕生、吉良大弥の見事な戴冠を見ることが出来ました。