伝統のファイトタウンを訪れる 中谷潤人、ウィザースプーンと対面

 

 

スーパーバンタム級転向はほぼ確定事項となっている、WBCIBFバンタム級チャンピオン中谷潤人が、伝統のファイトタウン、フィラデルフィアを訪れた、という記事。
林壮一記者の手によるものです。

 

 

「マイノリティーの拳」「神様のリング」などでボクシングを取り上げ、それ以外のジャンルにおいても、アメリカの「今」を捉える作品を発表している林記者は、様々な取材を通じて、元WBCヘビー級チャンピオンのティム・ウィザースプーンとの間に信頼関係を構築していることで知られます。
ビッグファイトの際には、何度もウィザースプーンの解説コメントを聞き、記事化してきました。

今回は、西田凌佑を破ったのち、次戦まで間のある時期ということで、かねてから中谷潤人を高く評価してきたウィザースプーンと引き合わせることになったようです。
その様子は、記事に詳しいですが...ウィザースプーンの過去の苦境を、自身の現状に引き寄せて語る言葉は、実に重みがあります。

この連載は、全部で3回、掲載予定のようですので、もう一回ぶん、残っています。楽しみです。

 

==================


70年代後半から80年代前半の「ポスト・アリ」時代を担ったヘビー級ボクサーたちは、ラリー・ホームズを筆頭に、今見返しても、ベストシェイプだったらみんな、なかなか強かっただろうなあ、と思う選手が並びます。

アリの再来と目されたグレッグ・ペイジ。ホームズ相手に大善戦し、フランク・ブルーノを敵地英国で倒したティム・ウィザースプーン。
大柄なジャバーで、コンビネーションも速かったトニー・タッブス。モントリオール五輪銅のホープ、ジョン・テイト。
その他にも本格派のグッドジャバー、ピンクロン・トーマス。後年ホリフィールドと激闘を繰り広げたマイケル・ドークス。ハーキュリーと呼ばれた筋骨隆々の強打、一発逆転男マイク・ウィーバー等々。

しかし、これらの選手は皆、ドン・キングの傘下にあって、当時のヘビー級市場を独占したキングの意のままに操られ、酷い条件...いや、条件、と表現するにも値しない「奴隷契約」の元、キャリアベストの時期を浪費させられ、心身共に疲弊し、いずれも大成することなくキャリアを終えました。
ティム・ウィザースプーンはその中にあって、リングの内外においてキングの支配に抗い、裁判を起こして勝利を収めただけ、まだ救いがあった方、とは言えるでしょう、が。
その辺の顛末は「マイノリティーの拳」に詳しいです。Kindle版は安価で読めるようですし、是非、ご一読を。

 

==================

 

さて、動画もご紹介。
毎日放送といえば「せやねん」のボクシング特集が時々ありますが、今回は他の番組から、中谷潤人インタビューです。
長谷川穂積も登場します。

youtu.be

なんだか賑々しい、関西ノリの番組ですが、井上尚弥戦について語るところなど、要注目です。
また、次戦(ラモン・カルデナス戦?)の発表もまだ先で、少し余裕のある?時期でもあり、にこやかに色々と応じていますね。

 

 

健文トーレス、キルギスに散る 硬軟自在の手練れ、ヒメネスにKO負け

 


そんなことで日曜の感想最後、ABEMAのキルギス興行配信ですが、これまた長丁場、試合数も多く、全部はチェック出来ていません。
とりあえず見た試合から。実質メインの、デビッド・ヒメネスvs健文トーレス戦から。

初回や序盤の内は、健文の良い間合いから出す右ストレートや左フック、ボディブローなども出ていましたが、デビッド・ヒメネスは早々から、その間合いを外したり潰したり、というところで巧さを見せ始めました。
頑健な体格で、実際タフファイターですが、頭を嫌がらせに使いつつ、健文の上体を少しのけぞらせ気味に持っていき、徐々に、パンチにウェイトを乗せにくくさせていくなど、ずるさも含めた頭脳派の貌も持っている。
長期ブランク明けから再起途上にある健文にとり、単に頑張るだけでは対処出来ない難敵でした。

2回に健文、ダウンを喫する。これは何が当たったのか見えず、スローリプレイもない。ただ、ダメージ自体は無かった模様。

しかし中盤から、健文のパンチは時折当たるものの、明らかにヒメネスの突進を食い止められない展開。
ポイント連取しつつ、リズムに乗って闘えるヒメネスに対し、健文は攻められては返し、の対応に精一杯で、これは疲れていく一方。
10回、ヒメネスが足使って跳ねたりする「お休み」に乗じることも出来ず、劣勢の11回、右肘の下を通った、視認出来ない左レバーパンチを食う不運もあり、KO負けとなりました。


中立地キルギスのロケーションが健文に、特段の負担だったかは何とも言えません。そもそも、相手も同じ条件ですし。
やはりヒメネスの実力が、ブランクを挟んだ波瀾万丈のキャリアを持つ健文を上回ったということでしょう。
再起後、ガバリョ、カタラハと、世界1位に連勝した戦績が光る健文ですが、その前は脆い倒され方をした試合もあり、やはり体力勝負で、ヒメネスほどの難敵を撥ね付ける強度は無かった、と見えました。
また、ヒメネスが考えなく体力勝負、タフファイトをするのではなく、健文の良いパンチが出る間合いを消すことを考えて闘える、巧いファイターだったことを認め、称えるしかないのでしょう。


==============


アンダーカードでは日本勢と地元の選手が戦いましたが、花田颯が勝ったものの、佐々木る玖、入田力斗が敗れ、結果は一勝二敗。

しかし何といっても強烈な印象を残したのが、東京五輪フライ級銅メダルというから、この配信の解説を務めた田中恒成の兄、亮明とは反対側の「山」にいた選手、ということでしょうか、サケン・ビボシノフというサウスポー。

フィリピンの23歳クリスチャン・レガネを相手に、間合い決めてバックステップで外し、ほぼ触らせもしない。
長いリーチを見せつつ踏み込み、バックステップするかと思ったらその位置から踏み込んで左を打ち込み、早々にダウン奪取。
フィニッシュは左ボディブローを、カウンターのタイミングで打ち込んだもの。
いずれも並外れたテクニック、タイミングの読めなさ。最後はレガネ、文字通り悶絶。なかなか立てませんでした。

いやー、こら凄い、と驚きました。
これがプロデビュー戦だそうですが、順調に試合数を重ねてきたら、田中恒成も言っていたように、日本勢との対戦も今後、大いにありそうです。
問題はどういう活動をしていくか、ですが...ムロジョン・アフマダリエフのように早々からアメリカのリングでコンスタントに闘い、欧米のマーケットが求めるスタイルにも適応出来るようなら、相当やれるかもしれません。

その観点で行くと、これも今回初見だった、サケン以上の大物、ハサンボイ・ドゥスマトフは、これはどうかいな、という印象でした。
マチュアのリングでならこれは相当な、ということはわかりましたが、プロに向いているかというと...今から何かを大きく変えて、という意志が見えなかったこともあり、微妙な印象でしたね。

 

 

技巧と圧力、緩まず攻め落とす ロドリゲス、カフを圧倒TKO

 

 

そんなことでDAZNライブ配信もうひとつ、ジェシー・ロドリゲスvsプメレレ・カフの一戦。
これは時間被りとなったベガスの試合と違い、世界チャンピオンかくあれかし、という試合内容を存分に見られました。

初回からWBC王者ロドリゲスが、ガード上げて構え、アグレッシブに出る。
滑らか、かつ鋭いコンビネーションが淀みなく繰り出され、しかし相手と絡んだりもつれたりしない、最小限の間合いをキープしてもいる。
見ていて、世界一流のボクシングとは目にも涼しい、こうでなくてはなあ、と改めて感心し、敬意が湧き上がってくる。

それはロドリゲスのみならず、対するIBF王者プメレレ・カフの姿にも、同様に。
基本、ロープ際に追われる形でしたが、ガードを固めてカウンター狙い。
引かされてはいたが、同時に果敢な狙いをしっかり持っている。ガードもかなり堅く、頑張ってブロックしては返してくる。
中盤は、カウンターを端緒に連打の応酬で、打ち負けないところを見せていました。

しかし9回、ロドリゲスのコンビネーションがカフのガードをすり抜けて、立て続けにヒット。さらに追撃が入り、カフ苦しい。
10回、カフの抵抗虚しく、上体を上げようとしたタイミングだったか、ロドリゲスの右フックヒット。
カフ、ダメージ受けて身体がよれ、ロドリゲスが追撃。レフェリー、一瞬止めようとしたが躊躇。

ロドリゲスがさらに詰め、カフはこの試合、ほとんどなかったクリンチに出たがかなわず、スリップ。もう身体に力が入っていない。
これはもう、程なく終わりだ、と思ったところに、南アコーナーがタオル振って棄権の意志表示。良い判断でした。
ロドリゲス、膝をついて歓喜のポーズ。激しい試合が終わりました。


無敗の王者対決でしたが、実際は最強の王者と、有力挑戦者がそれぞれの立ち位置で、懸命に力を出し合った熱戦でした。
日本で田中恒成を破ったカフは、その前のいくつかの試合では、攻められたら慌てて防御を崩し、他愛もない打たれ方をしているような選手でしたが、田中戦に続き、今回の試合ぶりも、その頃からすると別人。
攻め立てられる苦境にあって、懸命の防御とカウンター狙いで、ロドリゲスに楽をさせず。
劣勢に見える位置関係で闘い続けましたが、その攻防は、内容的にしっかり渡り合っていた、と言って良いでしょう。

そして、簡単ではない相手に、技巧のみならず、緩むことのない圧力を伴った攻勢を続け、それを維持し、終盤にしっかり仕留めたロドリゲスの闘いぶりは、これぞ世界王者、というに相応しいグレードでした。
心技体、いずれも充実を感じました。115ポンド最強の実力を改めて証明した、と言えましょう。素晴らしかったです。

 


ところで、中谷潤人戦のオファーを断られたとかいう話題が出ているようです。
正直言って、現状、そんなカードは組みようがないものを、何を今更、というだけの話なんですが、話題というかPV稼ぎには良いんでしょうかね。
中谷とロドリゲスが闘うなら、フライ級とスーパーフライ級で入れ替わったタイミングしかなかったでしょう。アレは確かに「人事異動」の臭みあり、な話でしたが。
中谷はもうバンタムの体重は苦しいし、ロドリゲスはバンタムには小さい。そんなこと、彼らの試合を継続して、一定以上の興味を持って見ている人なら、誰だって知っていることなんですけど、ね。
そもそも、エディ・ハーンの言うことですから、というのもあります。何かにつけて適当ですものね。これまた誰でも知っていることですし...。


何しろ今、日本からロドリゲス戦に送り出したいのは、まず寺地拳四朗、続いて矢吹正道です。
バンタムに上げるなら、もちろん王者が実際にいるわけですが、中谷、西田が去るであろう今、残った話はなんか内向きな印象でもありますのでね。
まあ、来年以降の話ですから、その頃には色々と目鼻が付いていることでしょうが。
何しろこの辺のクラスで、こんな凄い選手がいるんですから、日本ボクシングが軽量級王国を自負するならば、日本から誰も挑んでいないのは「沽券に関わる」事態のはずです。
来年以降、そうした状況に終止符が打たれることを期待します。

 

 

「難攻」ではある/ラッセルならばこそ/次期挑戦者としては...

 

 


ベガスの興行、アンダーカードについても色々ありました。簡単に感想です。


セミは再戦。ティム・チューは、一生懸命頭の位置を変えて外し、打って行こうとしていましたが、間合い自体が桁外れの長身サウスポー、セバスチャン・フンドラの打てるポイントに合っていて、初回早々にダウンを喫する、苦しいスタート。
もっと遠くに立ったところで、フンドラの手が伸びてくるでしょうし、懐に入るにも、右肘が怖いしアッパーも来る。
フンドラは唯一の黒星、ブライアン・メンドサ戦でのKO負け以降、安易に上体を折って頭の位置を下げないように心がけていて、簡単に頭部へパワーをかけたパンチを打てる的ではなくなっています。
チューに限らず、今、誰にとっても難しい相手でしょう。

それでも奮戦していたチューですが、7回、これで駄目なら諦める、という決意で勝負をかけた?が、打ち勝てず。
この回終了か、8回開始か不明ですが、セコンドから棄権の意志表示があったようです。

セバスチャン・フンドラ、その実力には懐疑的な気持ちもありましたが、右リードを打つ際の肘の上げ方ひとつで相手を牽制するようになっているところなども含め、いよいよ「難攻」な王者になってきたのは確かです。
これが「不落」なのかどうかまでは、まだ断言出来ないなあ、と思いもしますが。


===================


ゲイリー・ラッセル・ジュニアはライト級での試合、ウーゴ・カスタニエダを10回、ボディブローでフィニッシュしました。
しかしそこに至る過程は、いかにもというか。さすが、というのとは少しニュアンスが違いますが、ラッセルならではだなあ、と。

2回、左から右の返しでダウンを奪い、追撃の連打厳しく、二度目も。
珍しく「詰め」たなあ、と思い、ここでさらに詰めて倒すか、と思ったら、何故か、ここで相手を見る。
これはさすがに驚きました。呆れるような気持ちでもありました。常人には理解出来ないというか。

ブランク明けの試合、長いラウンドで自信の調子を色々確認したかった、ということかもしれません。
上手い具合に相手にダメージを与えたことでもあるし、安全も確保出来ている、と。
それはそうかもしれませんが、しかし、ここで倒しに行かないという選択をするボクサーは、やっぱり滅多にいないだろうなあ、と思います。

4回、捨て身の猛攻を仕掛けるカスタニエダに、左のカウンターをビシビシ決めて迎撃。
6回、また左から右の返しを決めて、三度目のダウンを奪う。
そして最終回、「忘れた頃に」決めるボディブローでのフィニッシュ。一応、倒せたら倒す気はあったのでしょうか。

そのセンス、技巧と共に、ゲイリー・ラッセル・ジュニアの存在が、色々な意味で「並外れた」ものであることを、存分に見た試合、というところでした。いやはや。

 

===================


アラン・ピカソと亀田京之介の一戦は、ピカソが2-0判定勝ち。
契約体重はフェザー級のはずですが、画面ではスーパーバンタムと表示されていました。放送局が適当にやってたのでしょうか。
内容的には、似たような間合いでコンビネーションの交換が続く感じでした。
技量力量でピカソが上回っているのは確かでしたが、大きな差にならなかったのは、やはりベストウェイトの違いでしょうか。
フェザーやスーパーフェザーで闘ってきた亀田が、そのアドバンテージを持っていて、それなりに均衡の取れた試合にはなっていました。

しかし回が中盤以降に進むにつれ、フォームがぶれないピカソと、乱れが攻防共に見える亀田、そこで差がつき始めたように。
ピカソはスーパーバンタムでも迫力あるKOパンチャーではないし、闘い方を色々切り換えられるほど器用でもないので、判定になるだろう事は、想像通り。
ただ、ドローつけたジャッジがいるのか、という驚きはありましたが。

ピカソについては、元々見栄え良く強い選手ではないし、世界1位という言葉から想起する怖さもない。それは変わっていませんでした。
確かに今後、井上尚弥挑戦をするであろう?選手としては、不足ありあり、と見えます。
しかし、案外こういう選手が、世界タイトルマッチとなれば予想外の力を発揮して...ということも、過去に事例がないわけではありません。
でも、やっぱりこの選手ではなあ、と、誰もが思うのと同じ事を思いますね。なんともかとも。

 

タイトルマッチとエキシビションの中間? パッキャオ復帰戦、バリオスと0-1ドロー

 

 

そんなことで日曜の感想続きですが、やはり大試合という意味では、ウェンブリーの一戦と並ぶかそれ以上か?という、マリオ・バリオスマニー・パッキャオの試合について。

パッキャオの出来、仕上がりについては、46歳で4年のブランクという条件からして、驚異的と言ってもいいものでした。
もっと酷い状態を想像することも出来ましたが、さすがにこの辺りは並外れています。
全体的に丸みを感じる姿でしたが、最終回まで動きが目に見えて落ちるということもなく、ペースを維持していただけでも凄いことです。

しかしそれは、パッキャオの体力を削ぎ、弱らせるような攻撃を繰り出せなかったバリオスの側にも、その一因あり、でした。
序盤から慎重に見て立ち、ジャブはそこそこ、ボディブローや右のリターンパンチはヒットするが、ただ当てるだけ。
威力あるヒットは皆無に近い。ダメージを与えよう、痛めつけよう、倒そう、という意志が、伝わってこない。

普通、ボクシングの試合を見ていて、選手の振る舞いに、手心、気遣い、遠慮を見て取る、感じ取る、ということは、まずありません。
この試合とて、要は現状の両者のコンディションと実力が相まって、バリオスの攻撃に迫力がなく、パッキャオが年齢とブランクを乗り越えて精一杯闘ったが故の均衡、だったと見るべき、なのかもしれません。

しかし、セコンドが再三、ノーリスペクト、と声にしていたようですが、バリオスは本当に遠慮して、手心を加えているのかもしれない、という気がしてきたのも事実です。正直な気持ちとして。
終盤は、バリオスが少なくともポイントを抑えにかかったように見えて、少し厳しい攻防が見られたような印象ではありましたが。

判定は1-0、マジョリティドロー。ひとりが7対5でバリオス、ふたりが6対6。
終盤のバリオス攻勢がなくば、逆もあり得た採点でした。

 

で、私はというと、試合が中盤にさしかかる頃には、採点がどう、勝ち負けがどうという観点をすっかり見失っていました。
今見ているこの試合は、果たして試合なのか。タイトルマッチと銘打たれてはいるが、要はそれとエキシビションの間にある何ごとか、でしかないのでは?と思っていたようなことです。
ボクシングの試合とは、タイトルマッチとは、眼前の敵を打ち倒して、相手の未来を奪い、自身の未来を切り拓く「決着」を見るものだ、というような考え方は、少なくとも、この試合には当てはまらない。
あまりくどくど書き連ねる気にはなれませんが、バリオスとパッキャオの両者とも、それ以外の何ごとかに思いを定めて闘っていたようにしか、見えませんでした。


見終えて、こういう試合がタイトルマッチだ、ビッグマッチだと称して闘われることを許容する、ボクシング界、ないしは「業界」に未来はあるのだろうか、と思っていました。
私は同意しませんが、ボクシングファンの中には、この試合の成り立ちや、実際の試合内容をも容認する向きもおられるでしょう。
また、パッキャオ個人のファンであるならば、なおのこと。
しかし「それ以外」の観客や視聴者層の存在なくして、ボクシングがメジャーな人気スポーツとして、格闘技として存在し続けられるわけもない、とするならば、やはり...。

驚いたことに、一部ではパッキャオが勝利を盗まれたとか、再戦すればまたビッグマッチになるとかいう話もあるらしいです。
しかし、もう、いい加減にした方が良い、と思います。こういうのはもう、いただけません、と。

それが私の、率直な感想です。

 

 

強敵を二度ずつ破る律儀と偉大 ウシク、デュボアを返り討ち

 

 

そんなことでえらい一日が終わり...いや、まだABEMAの配信が残ってますが、とりあえず順番に感想書いていかんと終わらないので。
DAZNの深夜配信から感想です。簡単に。


ウェンブレースタジアム、また9万人とか、入ったのでしょうか。
何しろ大盛況の場内、異様な盛り上がりの中、夜空を花火が彩り、両者入場。試合前からお腹いっぱい、という。

初回、その雰囲気に呑まれるのでなく、波に乗るようなオレクサンドル・ウシク
リズムを刻んで、身体が良く動く。手数、足数、動き数...何しろヘビー級の身体がこれほどに、と驚くほどの、動きの量。
かつてクルーザー級時代に「200ポンドのロマチェンコ」と評されたものですが、今回は過去最重量の227ポンドでしたか、さらに重さが増しているにもかかわらず。
ダニエル・デュボアも右ダイレクトリード、ワンツーから右と鋭い手を出すが、ウシクのリターン、左をヒットされる。

2回、早々にひと山。デュボアが左から右、ワンツーを打ってやや前にのめった。ウシク逃さず左クロスをヒット。
デュボアの右グローブがガードに戻る前に打った。デュボア、ダメージあり。

3回、ウシクの左カウンターが来るが、デュボア踏ん張って攻める。
しかしダメージの影響もあってか、ウシクに外される場面が増えていく。
4回、デュボアの右ボディアッパーが出る。前回論議を呼んだパンチと同じような。スローで見ると低いのもあった。
このパンチを正当に決められれば、ウシクの数少ない弱点、ボディからの攻略に繋がりそうだが、後続が出ない。

5回、場内からウシクへのコール。これに乗って?左ストレートをガードの真ん中へヒット。
デュボア効いたせいか、無理に打ち返そうとして前に。ここにウシクが右フックカウンター、アゴへ。続いて左から右を頭部へ連打。
デュボア、はじけ飛んで膝をつくダウン。立ったデュボアに、ウシクが左から右フック返し...はミスだったようですが、これで終わらず、さらに左フックも返す。
これは決まって、デュボア二度目のダウン。立とうとするが、カウント進み、立ちかけたところでカウントアウトとなりました。


前回の因縁も綺麗に決着し...というに収まらない、オレクサンドル・ウシクの偉大な業績に、またひとつ「返り討ち」が追加されました。
何しろこの人、タイソン・フューリー、アンソニー・ジョシュアに続いて、このダニエル・デュボアとも二度闘い、全部勝っているのです。
比肩しうるとしたらモハメド・アリくらいでしょうが、アリはジョー・フレイジャーケン・ノートンと三度ずつ闘いましたが、それはいずれも初戦が黒星でした。
ソニー・リストンとは再戦しましたが、リストン2世と言われたジョージ・フォアマンとの再戦は、ついに実現せず終わりました。

それを思えば、これほど律儀で、かつ偉大なチャンピオンは、空前絶後と言って良いのでは、と思います。
まして、強敵との対戦を忌避し、都合の良い時期になってやっと踏み切るとか、ベストウェイト外すとか、しまいにはドーピングの効能をもって...みたいな手合いとは、比べるのも失礼、というレベルです。

いつもDAZNのPPVカードについては、なんやかや文句ばかり言っていますが、オレクサンドル・ウシクの試合については、その価値充分、納得です。
そして、彼が主要メディアのP4Pランキングにて、井上尚弥の上に立つであろうことについても、同じくです。
井上に関しては、軽量級ゾーンにあって、このウシク、そしてテレンス・クロフォードと並び称されているだけで、充分に偉大なのだと思うべき、ですね。


この試合は、デュボアがIBF王者になっていて、4大王座再統一戦、という試合だったようですが、実際のところは、王者と最強挑戦者の一戦だった、と見ればよく、堂々たる「王座防衛」でもあった、と言えましょう。
配信ラッシュの日曜日、一番最初に、真の王者による見事な勝利を見ることが出来ました。素晴らしかったです。

 

アンダーカードですが、とてもじゃないが全部を見ることは出来ず、セミセミセミは寝てしまいました。
二試合目の4回戦に、ナジーム・ハメドの息子、アダム・ハメドが出ました。デビュー戦以来、でしたかね、見るのは。
相手はエゼキエル・グレゴレスというアルゼンチーナで、3勝24敗とかいう、ドえらい戦績。
体重はスーパーライト。デビュー戦の時より身体が出来ていて、しっかりした動きでワンツーを打っていました。
判定勝ちで、別段、優れた才能ということでもないと見えますが、まだこれから、経験を積んでいく必要があるでしょう。
何しろアマチュア歴一切なしでプロ6戦目、今回の勝利で6勝3KO無敗、という戦績。それを思えば全然悪くない、というところです。


先日少し触れた、ウクライナから来たヘビー級ホープ、ウラディスラフ・シレンコはサロモン・ダクレスに判定負けでした。
戦績は良いのですが、正直、特別に強い選手ではなかったですね。ちょっと残念でした。

 

 

時間被りは辛いけど 日曜、WOWOWオンデマンドでPBC興行アンダー配信

 

 

さて、いよいよ狂気の日曜配信ラッシュ、いちんち4興行の日がやってきます。
現時点での情報、ですが、順番に時間を書き出していきます。
もうブログと言うより、自分のための覚え書きです。すみません。


20日、日曜午前1時30分、DAZNにてウシク、デュボア再戦、アンダーの第一試合配信開始。
最初の一時間は、PPV料金なしで見られるが、2時2030分からは、PPVでの視聴、となるようです。
メインは明け方になることでしょう。6時か7時くらい?
以前、ウシクとフューリー再戦のときは、同接が多かったせいか、メインになって突然映像が止まりましたが、今度はそういうことのないように願いたいものです。別料金取ってこれではな、と。

 

==============

 

で、WOWOWオンデマンドが、午前6時半頃から、パッキャオ、バリオス戦アンダーカードを配信すると、急遽決定しました。
これはDAZN、ウシク、デュボアのメインと、時間的に被る可能性高し、ですね。

このアンダー配信は、PBCYouTubeチャンネルでも見られる内容のはずです。
実況解説もつかないというから、あとは画質の違いが僅かにあるくらい、でしょうか。
ひょっとすると、YouTubeの方は日本国内では見られなくなる?そこまではしませんかね。

やっぱり、ピカソvsカメダ従兄弟の試合が注目されるのでしょうが、個人的にはゲイリー・ラッセルやマーク・マグサヨが今、どんな調子なんだろう、というのが気がかりですね。

WOWOWのTV放送開始は午前9時30分から。オンデマンドでも平行して配信があるはずです。
マニー・パッキャオvsマリオ・バリオス、セバスチャン・フンドラvsティム・チュー再戦など、PBCが必死になってビッグイベントを作った、という感じのラインナップですね。

 

==============

 

続いてDAZNの方で、ジェシー・ロドリゲスvsプメレレ・カフのスーパーフライ級王者対決。
「アンダーカード」が午前6時から、メインカード、というか主要試合の配信が8時から、と分かれています。
こちらはいずれも、PPVではなくて、月額料金で視聴可能です。


そして、ABEMAもあるんですね。午後4時から。

 

健文トーレスとデビッド・ヒメネス戦をキルギスで組む、という発想はまったく持っておらず、驚きました。
WBAスーパーフライ級暫定王者ヒメネスと、世界1位連破の健文の一戦を実現するために、こういうロケーションが必要だったということでしょうか。
何しろダイナミックは発想というか。しかもそれがライブ配信で見られると。
えらい時代になったものです。

アンダーにはキルギスの選手が大勢。あとウズベキスタンのハサンボイ・ドゥスマトフが出ます。
五輪二度優勝の、アマチュア界の大物。19年からプロアマ平行して試合をしていて、プロでは6戦6勝5KO無敗。
23年には世界選手権の51キロ級優勝。坪井智也を下しています。注目ですね。


まあ、とても全試合を見るというわけにもいかないでしょうが、何とか主だったところだけでも見て、完走したいものです(笑)。
時間被りは辛いものですが...しかし、年に数回のWOWOW生中継を大喜びで見ていた頃からすると、贅沢な悩みではありますね。