五輪連覇対決は竜頭蛇尾も、尾川堅一ベガスで戴冠 有り難や生中継二本立て




ということでご多分に漏れず、WOWOWオンデマンドに釘付けの日曜日。
五輪連覇対決と、尾川世界挑戦は、それぞれオンデマンドで生中継してたようですが、
私はいちおう、ロマチェンコvsリゴンドーを先に見たあと、結果知らずで尾川の方を見ました。
20分ちょい待たされましたが、まあ仕方ないところでしょうか。
簡単に感想を。


===============================================


史上初の五輪連覇対決(ワールドカップも)、ワシル・ロマチェンコvsギジェルモ・リゴンドー戦は、
従来のプロ中心にボクシングを見ている者の感性から来る期待を、十全に満たすものかどうか...
まあ、簡単にいうと、過剰な期待はしちゃいかんのではないか、という思いでした。

共にアマチュアといわれるボクシングの歴史上、屈指の実績を残した伝説的選手同士。
プロで言えば階級はふたつ、8ポンドの差があり、それは当日計量に縛りをかけても変わらず。
それ以上の差が出ないようにしたと覚しき、138ポンドまでという規定は絶妙と思いましたが、
試合がいざ始まれば、それは充分に大きな体格差でした。


初回、リゴンドーは踏ん張って構え、ロマチェンコが回るスタート。
体格差を跳ね返そうというリゴンドーの気概が見えた、ような気がしました。
両者、敏捷にジャブを外し合うが、探り合いに終始。ポイントつけようがない。

しかし2回から、ロマチェンコが体格差からくるパワーの差を見せる。
軽く打って出られるロマチェンコに対し、リゴンドーは後退し始め、クリンチ増加。

3回以降、大柄な方のロマチェンコが速い。リゴンドー、左に傾斜して上体を折る。
そこに細かいロマチェンコの連打。上から打ち下ろし、下から煽る。

ロマチェンコは身体寄せつつ左へ回るので、リゴンドーは接近戦の際に得意とする
左のボディアッパーが打てない。この一点だけでも、実に周到で、読みに間違いもなし。

6回、大柄なロマチェンコが速さでもまさり、軽いが正確に当て続ける。
小まめに動き、細かく打ち、外す。
小柄なリゴンドー相手に、体格、パワーのみならず、動きの質量でもまさっている。

7回開始前、棄権となりましたが、この辺は何というか、
この二人が勝つときはこう、負けるときはこうなんやろうなあ、と漠然と思っていた通りの「絵」。
分別、とはこういうことを言うのでしょうし、リングに上がって実際に闘っているボクサーに
これ以上の何事かを求めてはいけないのだろう、と頭でわかってはいるんですが。


ロマチェンコはさすがの巧さで、格下相手の余計な「エエ格好」もなく、集中していて、
その結果、またしても相手を棄権させているのだから、呆れるほかありません。
体格差でまさることは、却って悪く出る可能性もあるかと思っていましたが、杞憂でした。

リゴンドーは、ノニト・ドネア戦でも同様、初回は張り詰めていても、
その後、どこか易きに流れる、という感じがありましたが、今回は初めての敗北となりました。
相手が普通なら、二階級違っても勝てたかもしれませんが、ロマチェンコだとさすがに厳しいですね。

しかし、この大試合で、あの負け方、終わり方はさすがに痛いでしょうね。
こんな無茶な試合に敢えて挑んだ?気概は、初回に見えたような気がしたものの、
最後はやっぱり、?マークが浮かんでしまいました。
それも含めて、やはりこの人らしい、という感じもあるわけ、ですが。


===============================================


尾川堅一はデビン・ファーマーにスプリットの判定勝ち。
ラスベガスでの王座奪取は、日本人ボクサーとしては初ではないでしょうか。

初回、右ストレートで入るが、ラストで左カウンターを食う。
尾川は序盤から、思い切り良く右を飛ばす。いつも通りの感じで立ち上がれる、これだけでも凄いこと。

2回、ファーマーは尾川のパワーを意識して、止めたい感じの迎撃。
遠目に位置取り、ジャブから軽いヒットを重ねる。
3回はカウンター取りたそうなファーマーに乗じ、尾川右ヒット、攻める。
4回も尾川。5回ファーマー少し調整。6回、攻守激しく入れ替わる。

7回、尾川の右でファーマーの足元が乱れる。8回ファーマー突き放しにかかる。
9回ファーマー手数。10回尾川右から攻勢。ファーマー懸命に逃れる。
11回ファーマー苦しそうだが、懸命に当て逃げ。微妙。
12回ファーマー、重心下げてトリッキーに動く。尾川最後で少し疲れたか。

さうぽん採点は迷いつつも、フフ尾尾 フフ尾フ フ尾尾フ、7対5でファーマー。
しかし、ジャッジは尾川の攻勢、一発の威力を評価したのでしょうね。
ここが逆やったんやろうな、と思う回もないことはない、そういう印象もありました。


ファーマーは巧さ、多彩さでまさるも、割と前後の動き中心で、
サウスポー相手にサイドに食いつく攻めのない尾川にとっては、比較的闘い易い方だったかもしれません。
内藤律樹との2試合を経ている経験も、この相手との相性を考えると、生きたことでしょう。

何より、日本でやっている試合ぶりとほぼ変わらず、踏み込みが速く、パンチも切れていた、
いつも通りの尾川堅一が、ベガスのリングで、ほぼそのまま闘っていたように見えました。
苦しい試合でしたが、その点において、見事な闘いぶりだったと思います。


===============================================


最近、DAZNもちょくちょく生中継をやっていまして、先月末はコバレフ再起戦、
今月に入って第一日曜はコット引退試合と、こちらはその前のジョシュア、タカム戦と違い、
日本語実況解説を帝拳関連の人がやる、という形ではなく、英語実況そのまんまでした。

今後、WOWOW=帝拳関与試合との兼ね合いがどうなっていくのか、注目ではありますが、
今日のように、二つの興行を二班に分けて、実況解説をつけて放送するという手のかけ方は、
WOWOWの方に一日の長があるとも言えるでしょうね。
時々、目の前の試合で起こっていることを無視して「お話」が続くときがあり、
ちょっとイラついたりもしますが、まあ概ね良しとせねばいかんのでしょう。

しかし、タイのチャンネル7でワンヘン、福原戦も生中継を見られましたし、
WOWOWオンデマンドやDAZN、BoxingRaiseなどを含めると、
CS局もG+以外ほぼ撤退の現状でありながら、なんだかんだとボクシングの生中継を
見られる機会が増えてきた今日この頃です。

やはり、生中継の楽しさ、魅力には抗えないものがありますね。
是非この流れに、国内試合の方も乗せてはもらえないかなぁ、と、いつも同じことを思うわけですが...。