西の秘密兵器?長身サウスポー下町俊貴、全日本MVP獲得
なんやかやらとどたばた、忙しい年末になってしまい、更新が滞ってしまいました。
この年末は、結局、連日観戦することにしてしまった(しまったって何だ...)ので、
またあれこれと感想を書いて、拙ブログにおつきあいくださった皆様への
年末年始のご挨拶に代えさせていただきます。
まあ、要するに、毎度の通りだということであります。
取り急ぎ、昨日生中継された全日本新人王について、感想を書いておきます。
スーパーフェザー級がメインイベント的注目を集めましたが、
全体的に場内盛り上がり、或いは緊迫の展開も多かったかな、という印象でした。
終わって、これ三賞どうなんのかな、と迷う内容でしたが、
結果、偶然デビュー戦を見た選手がMVPに輝く、ということになりました。
勝ってくれただけでちょっと嬉しいな、という感じだったので、二重の喜びでした。
ミニマム級は大柄な東のサウスポー赤羽根烈が序盤優勢。
しかし西の井上夕雅が徐々にセンスの良さを見せ、多彩なパンチを当て、打ち勝つ。
西軍代表でも好ファイトを見せていたので、期待していました。
敬語を知らないインタビューの様子も、あれはあれで微笑ましいものがありました。
ライトフライ級はサウスポー対決。東の佐藤剛が、早々に強引なプレス。
西の長井佑聖が巧さを殺され、肩ごしに左クロスを打たれ、脇腹打ちでダウン。
左を上下に打ち分けで佐藤が攻め、二度目のダウンでTKO勝ち。
小柄な佐藤、パワーを見せた速攻でした。
フライ級は東のサウスポー薮崎賢人が接近し、西の白石聖が距離を取る。
最初はもみ合いが多かったが、白石が抜け出して右リードから当て、勝利。
スーパーフライは東のサウスポー今川未来が右フックをよく決める。
西の松浦克基はやや硬い。右ヒットは単発。最後はヒット応酬も、今川勝利。
バンタム級は東のサウスポー富施郁哉が、西のスイッチヒッター徳山洋輝を
初回から左ストレートでダウンさせる。追撃で徳山スリップダウン。
小柄な徳山は果敢に出るが、外され打たれる。
4回、富施が左ヒットから連打、TKO。
スーパーバンタム級は東のMVP、東軍6人目にして最初の右構え、飯見嵐。
対するは「西の隠された秘密兵器」と私が勝手に目している、長身サウスポー下町俊貴。
序盤、飯見の接近を下町がジャブで止めきれず、わりと近い距離で打ち合う展開で、
これは分が悪いかと見えましたが、強打の飯見に対し、軽いが正確なヒットを重ねる。
3回、下町の右フックがカウンター気味に入り、4回、左ヒットから猛攻、TKO。
長身で痩身ながら、強打の相手に近い距離でも打ち勝ったのは見事でした。
フェザー級は左のサウスポー佐々木蓮、西の高瀬衆斗、共にリードジャブが乏しく、
ミスとクリンチが多い、低調なスタートでしたが、徐々に佐々木がパワーの差を見せる。
3回左ヒット、上下に散らし、4回左アッパーからTKOに。
スーパーフェザー級は8連続KOの東、ジロリアン陸に、西のMVP森武蔵の対戦。
初回、ジロリアンの右が伸び、森はワンツー返すが浅い。ジロリアン懐深い。
2回、森は遠い相手にやりにくそうだが、左上下を当てていく。
3回、ジロリアン左回りを増やし、右ストレート。森の左が後頭部に入り、休憩。
再開まもなく、森の右フックがジロリアンの耳の辺りに入り、ダウン。
4回やや膠着。5回森は積極的に仕掛け、ジロリアンの反撃を封じる。
戦前の期待を満たす好ファイトとはいかず、ラビットパンチも残念でしたが、
森は強打の難敵ジロリアンを、積極的な攻めで押し切りました。
まだ18歳ですが、冷静かつ積極的な試合ぶりは、やはり目を引きました。
ライト級は東の強打、有岡康輔に、西のサウスポー小畑武尊が攻めかかる。
左レバー、左から右返し。有岡右カウンターして反撃。
2回、小畑またヒットを取り攻めるが、有岡右からの連打で二度倒し、TKO。
試合後、元ヨネクラジムの有岡、涙で関係者に感謝する感動のインタビュー。
このインタビュー混みで、今日のMVPは有岡かな、という感じもしました(^^)
スーパーライト級は東の木原宗孝が、沖縄のマーカス・スミス相手に、
柔軟な動きからヒットを取る。
しかしマーカスの我流丸出し?なボクシングに苦しみ、打たれる場面が増える。
打ち合いは避けたいが、どうしても巻き込まれる感じも。
そのあたりが際どく響いたか、判定は三者三様ドロー、優勢点でマーカス。
マーカスは格闘技やキックの世界で、いろいろ破天荒なエピソードを残す男だそうで、
将来、大成するのかどうかは不明ですが、興味深い存在ではありますね。
ウェルター級は東のサウスポー重田裕紀が、西期待の安達陸虎に左から当てていく。
西では森武蔵に次ぎ、注目の安達だが、サウスポーを苦にする印象。
普通に正対すると、少し迷いが見え、手が止まる。
体が寄り、近づけば右、左フックなどが出るが、後続がない。
その合間に重田がヒットを重ね、判定勝ち。
ミドル級は東のサウスポー加藤収二が左ストレートで先制。
総合格闘技出身、三戦目の西、徳山純治をダウンさせる。
徳山は果敢に反撃、右をヒットさせる場面もあるが、
加藤が4回に二度ダウンを奪ってTKO。キャリアの差を見せました。
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改めての感想、印象としては、サウスポー異様に多いな、ということでした。
例年その傾向はあるのかもしれませんが、今年は特に。
東軍は、最初から5人連続で左だったのも含め、12階級中8人。
西軍も6人。バンタムの長谷川は、スイッチヒッターですが基本左と見て。
その結果、新人王戦のみのキャリアしか持たず、明らかにサウスポーに不慣れで、
苦にする様子が見える右構えの選手が数人、目につきました。
これだけ多いのは、日本ならではの傾向でもあるらしいですが...。
何にせよ、単純に、新人王決勝戦出場、24人の過半数を超えている現状、
ジムにおける技術指導において、プロボクサー志望の練習生には、
プロテスト受験前の段階から、右相手と左相手の、二つのセオリーを
トレーニングに取り入れるくらいのことは、しないといけないかもですね。
新人王トーナメントで左相手に試合が決まってから、対策しても間に合わない、
そういう事例は、実際にちょくちょく目にしますし。