「当世風」の選択 カネロ、ベナビデス戦選ばず、ビボルと対戦へ
カネロ・アルバレスの次戦が、ディミトリー・ビボル戦に決まったとのことです。
海外報道などでは、DAZNがビボル戦、ゴロフキンとのラバーマッチをオファーし、PBCはジャモール「お兄さん」チャーロ戦、そしてデビッド・ベナビデス戦をオファー、という話が出ていました。
三浦勝夫氏の記事に、その経過がまとめられています。
まあしかし、カネロならどっち行くかは、もう見えていました。
そして、その通りの選択をした、ということです。世界中、誰も驚かない話ですね。
もちろん、ディミトリー・ビボルはなかなかの強敵です。
ライトヘビー級の体格、ワンツー基調の安定したスタイル、最近は判定が多いですが、かつて見たKO勝ちの試合からして、パンチ力も相当なものがあるはず。
その「幹」の強さに関しては、かなりのレベルにあると感じますし、左は威力があり数も出て、右も以前は綺麗なワンツーストレートで打てて、威力もありました。
まだ、ジャブや右を上下に散らせる技術もあります。
防御に関しては、以前より少し「ほどけて」来ている感じもしますが、攻撃的にシフトしつつある、というところかもしれません。
ただ、そういう細かいこと抜きに、試合見ていて思うのは、この人、最初から最後まで、ずーっとおんなじことだけやっとるな、ということです。
相手どうあれ、試合展開どうあれ、ほとんど対応しない、何も変えない、という印象です。
とりあえず勝っていれば良い、という割り切りというか居直りというか、或いは何かを変えることが不安なのか。
もちろん、それで勝ち続けている以上、傍目から文句言うのも限界がありはしますが、あの感じだと、カネロ・アルバレスの攻め口の多彩さに、どう対するんだろうか...と思います。
それに年齢的にも31歳。今時なら中堅の枠内でしょうが、さりとて、今から劇的に何かが変わるかというと?です。
で、もうひとりは、村田諒太戦が実現するかしないか、というところから、何とか実現しそう?な、ゲンナジー・ゴロフキン。
こちらも言わずと知れた、かつて最強を謳われたチャンピオンですが...カネロに思わしくない結果(引き分け)に終わった初戦から二戦目は程なく行われたが、カネロ僅差勝利となった二戦目から今回の三戦目オファーまでには、すでに随分間を空けてられています。
ことほど、スター選手というのは勝手なものです。
少なくとも、悪い状態ではないかもしれないが、さりとてゴロフキンが、今から以前より良くなるというわけではないでしょう。
村田戦が実現すれば、そこで改めて現状が見えるでしょうが。
この二試合を選んで、PBCオファーの二試合を選ばなかった選択と、その是非については、三浦氏の記事に書かれていることに、ほぼ同感です。
関係者のカネロ評については、真偽の程は不明なれど、そう見られていて不思議はない、というところです。
ベナビデスと対戦することは「絶対」にない、ということですが、そんなことで「絶対視」されるようなボクサーが、当代きってのスターボクサーなのですから、ボクシングも先行き知れとるな、と嘆くしかありません。
まるで、僅差で下したハグラーとの再戦には応じず、マイケル・ナンのような新鋭と闘うこともなかった、晩年のシュガー・レイ・レナードのようだ、と。
この辺、いかにも「当世風」という感じがします。
そして、カネロが、直近の二試合でダウンを喫し、衰えていると見込んだ?ハーンズとの再戦で実質負け、若い格下と思って選んだテリー・ノリス戦で大敗、というレナードのような撤を踏む可能性も、今のところ低いでしょうね。
もちろんビボル、ゴロフキンとも、カネロが万全ないしはそれに近い状態でなければ、難しい相手ではありましょうが...カネロの心身は、少なくとも今のところ、そういう弱味を見せてはいません。
問題はその事実を、純粋に敬意を持って見られないところにもあるんですが、それはまた別の話、ですね。
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と、つらつらと書いていたのと前後して、ロシアのウクライナ侵攻がありました。
ビボルはキルギスタン出身ですが国籍はロシアらしく、このマッチメイクにも何か影響が出るかもしれません。
今のところ報道で、WBC、WBO、WBAのコメントが出ていますが、ロシアという地域については揃ってボイコットするものの、ロシアの「選手」については、言及があるのはWBOのみですね。
かつて、反アパルトヘイトを掲げ、各団体が南アフリカでの世界戦を禁じ、ブライアン・ミッチェルのような選手が「流浪のチャンピオン」となった時代がありましたが、今回は侵略行為ですから、同じレベルの対応で良いものか、という議論になるかもしれません。
単純に、ロシア人に罪があるわけではない、それは事実ですが、さりとて、そんな割り切りだけで済む話かどうか。
そもそも、始まったばかりの戦争が、この先どうなるものかさえ、まだわかりません。
コロナがようやく収まる?かというところで、またしても世界は、それどころではない暗雲に覆われ、当然ボクシング界も、それと無縁では居られないでしょう。
闘いは、リングの上だけで充分です。