ポイントアウト目指すも非情の結果 銀次朗、再戦もタドゥランに惜敗



ということで昨日はインテックス大阪のダブル世界戦、ABEMA配信で見ておりましたので、簡単に感想。


ペドロ・タドゥランvs重岡銀次朗の再戦は、タドゥランが2-1判定勝ちで防衛、返り討ちを果たしました。
私の想像と違い、銀次朗は軽く当てては動き、大柄なタドゥランとの力勝負を明確に避け、ポイントアウトを目指す闘い方。
この「方針」は試合全般通じて変わることがありませんでした。

映像で見る限り、銀次朗の軽めのパンチは、左のショートクロスカウンターや左右ボディなど、けっこうヒットはしていました。
しかしいずれも威力に欠ける。そういうバランスに振ったフォームになっているせいか。
体格とパワーでまさるタドゥランの、派手で威力のありそうなパンチで、その都度相殺され、さらに攻め立てられる場面が目につき、攻勢を食い止めることが出来ない。
終盤くらいには、タドゥランが失速したところに、一度くらい上下どちらかを強く打ち込めるチャンスがあるか、と思っていましたが、タドゥランは結局、そんな隙を見せることなく、銀次朗を押し切りました。

ラウンド毎の内容が競っているように思えて、無理矢理振り分けねば、という回がいくつかありました。
終わったときは僅差の勝ちと負け、ドロー、いずれにせよ納得せねばならない、という印象でした。
私は重岡のクリーンヒットと、その数の多さがやや上回る、という見方はあり得る、と見ましたが、結果は7対5で2者が割れ、残る一人は10対2。
それはないだろう、と思ったかというと...塵も積もれば、ではないですが、毎回の積み重ねでそういう数字も...いや、やっぱり、ちょっと極端すぎるような気がしますが。


重岡銀次朗は、自分に対するペドロ・タドゥランの優位性を認めた上で、これまでのボクシング人生のほとんどで通じてきた、力(特にボディブローの威力)で相手を制圧する闘い方を捨て、がらりとやり方を変えてこの試合に臨みました。
その末に、それでも及ばず敗れました。それはまるで刀折れ矢尽きる、という様に見えました。

試合後、意識を失った?様子が映し出され、担架で退場(関西には頭部固定の担架がないのでしょうか?)しまして、非常に心配です。
運ばれる途中で、意識はあったようで、腕も動いてはいましたが...その後の情報を待っています。
(ちなみに先日、谷口将隆にKOされたコンドル稲葉は大事なく、試合後にはボクシングモバイルの取材を受けて、コメントをしていたと教えてもらいました。安心しました)


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亀田和毅はアンジェロ・レオに判定負け。2-0でした。
中盤以降、思った以上に攻勢に出ました。ラストは攻めきって終えたし、健闘した、という印象でした。
しかしそれは亀田和毅にしては、という前提でもありました。

序盤からの失点は彼自身の「勝負出来ない」弱みが、ジャブの刺し合いにも出ていて、結果としてそれが祟りました。
終盤、ボディブローの効果が出て、攻勢を取れましたが、それでもやはり「踏み切れない」ところが見えてもいました。

あと、中盤以降、接近戦に出るラウンドもありましたが、そうするとやっぱりアタマが気になりました。
アタマでリードしてボディ打ち、みたいなのも、やっぱり何度かありました。もう癖になっているのでしょう。

何しろこの人、試合前とか合間とかの取材対応では威勢が良いのですが、いざ試合始まったら、どこか大人しいですね。
最終章と謳いながら、まだ続けたいらしいですし。いろいろとしょうがないなあ、というところです。


レオの方はというと、序盤から中盤にかけては、ジャブが良く、ダックも織り込んだ防御に、連打の締めに打つ左ボディなど、さすが、と思わせました。
ただ徐々に、場面によっては不細工なところも見せました。アタマもありましたし、9回に亀田のボディブローを受けて腰を引いてからは、テープ剥がれで休んだり。
どうしても、終盤の印象が強く残るもので、その辺はいまいち冴えませんでした。

全体として、井上尚弥との対戦を声高に言うほど、目覚ましい内容を示せたかというと?マークがつきます。
もちろん実際に闘えば、どんなことでも起こり得る、というのは前提であるにしても。
フェザー級王者としては、明らかにラファエル・エスピノサやスティーブン・フルトンより、ひとつ格下に見えます。
もっとも、前王者ルイス・アルベルト・ロペスよりは全体的にまとまっていて、大きな破綻がない、といえばそうかもしれませんが。



但馬ミツロはウガンダのハーバート・マドヴに5回TKO負け。
引き締まった身体付きのマドヴを見て、あれ?こんなの当てて大丈夫なのかなと思ったら、序盤はスピードと連打で優勢だったものの、徐々に捉えられ、5回に打ち込まれてストップ。
どういう算段で選んだ相手か知りませんが、当てちゃいかん相手やないの、と驚きました。
弱いのとやっているぶんには、ヘビー級で続けるのも好き好きやし、で済みますが、強いの当てると、もう勝ち負け以前に「危険」なのだ、ということが明らかになった試合、と見えました。
あの、ブリッジャー級の相手との試合があった後、この段階で、但馬ミツロにこういう試合が組まれるとは、ちょっと想像していませんでした。

誰も思うことは同じでしょうが、そろそろ本気で、ベストの階級に落とさないといけないでしょう。
仮にトレーニングで筋骨隆々の身体を作れたとしても、例えば骨格がヘビー級の太さに達していないのだとしたら、どうしても限界があります。
この黒星が、然るべき方針転換の機会になったら、それは幸いなことかもしれませんね。