新人王たちが直面する希望と苦悩 西軍代表決定戦2015観戦記



ということで昨日は新人王西軍代表決定戦を見てきました。

府立の地下はなかなかの盛況でした。
やはり各地区を勝ち上がってきた選手同士、これまで快勝も多かった選手が、
なかなかそう簡単にはいかない現実に直面する、ほぼ初めての機会かな、
という印象の「ままならぬ」試合が多かったです。
しかしそういう試合ほど、中身の濃いものだったりもしますが。


そういうことで全試合頑張って見てきました。
今回は、オープン戦の段階から、これはええかなと目を付けた選手や、
えらい戦績の選手もいて、G+とスカイAで、事前の試合もきっちり予習済みな上、
先日は東の決勝まで観戦してきたので、先のことまで楽しみにしつつの観戦でした。

結果、全日本も楽しみやなー、と思う階級があれば、残念ながら...と思うものもあり。
試合数が多いので、出来る限り簡単に、メモ程度ですが戦評。


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各選手の戦績は試合前のもの。表記の無い試合は5回戦。
上が西日本、下が中部・西部日本対抗戦の勝者です。

ミニマム級(4回戦)
北村流生(六島) 6戦5勝(1KO)1敗
安藤勇太(畑中) 3戦2勝1分

北村3-0判定勝ち。
立ち上がり、低い姿勢で右から入る安藤に、やりにくそうな北村、右フックでダウンを喫する。
ダメージありと見えたが、懸命に立て直し、動いて離れ、左ストレートでボディ攻撃。
安藤動きが止まり、北村の左決まって3回には逆にダウン。4回も北村が抑えて逆転勝利。

北村は悪い立ち上がりからしっかり挽回。足捌きと左の上下が良い。
東の小浦翼は手も足も速く手強いが、攻めを急く選手でもあり。
サウスポーの優位性を生かし、慌てず対処して、正確に左を決めたい。


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ライトフライ級(4回戦)
ユーリ阿久井政悟(倉敷守安) 5戦4勝(2KO)1分
大城信博(琉球) 4戦2勝(2KO)2分

ユーリ阿久井3-0判定勝ち。
大城が積極的に連打。手数では大城も、阿久井は大半をブロック。
初回右アッパー、2回左ダブル、ワンツーなど、時に鋭い攻撃が目を引くが、
攻め手が少なく受け身に過ぎる印象も。4回も見ていたが、最後に左カウンターで
大城をぐらつかせて攻め、ポイントは抑えた。

昨年惜しくも敗退も、好選手として印象を残したボクサータイプの阿久井、
冷静に見て外し、というのは良いが、もう少し攻め手を増やしてほしい。
技術面では今年の全階級でもトップクラスだけに、全日本獲ってもらいたいですね。


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フライ級
坂本真宏(六島) 4戦4勝(3KO)
吉房克曜(トヤマ) 4戦4勝(1KO)

坂本2-1判定勝ち。
吉房足使うが少し腰高で雑。坂本追うが手数が出ない。初回最後にワンツー。
2回坂本左右フック。3回、吉房の足捌きがこなれてくる。ジャブで坂本をコントロール
4回、坂本ジャブを食いつつ右ヒットも、バッティングで出血。吉房も疲れたか、スリップ。
5回、吉房奮起して足使い、坂本を捌く。坂本ヒットあるも単発。

坂本は勝ったものの打たせる傾向あり。強打は魅力ですが、その辺が不安。
吉房はよく動いて、3回、5回はクリアに取ったと見えたが、微妙な回を取れなかったか。
さうぽん採点は48-47で坂本。無理矢理振り分けたら、攻勢点で坂本、と見ました。


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スーパーフライ級
平野拳生(風間) 5戦5勝(3KO)
井上太陽(広島三栄) 5戦4勝(3KO)1敗

井上不戦勝。平野の計量失格による。
これは会場に行くまで知らず、がっかりしました。今年の目玉選手のひとりだったのに。
リングに上がって挨拶した井上、相当腹立たしかったのでしょう、終始険しい表情のままでした。
何とも言いようがありません。非常に残念です。


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バンタム級
清瀬天太(姫路木下) 8戦6勝(1KO)1敗1分
水野拓哉(松田) 8戦7勝(7KO)1分

清瀬2-0判定勝ち。
本日のメインイベントという感じの一戦。注目は、圧倒的な戦績どおりの強さと評判の水野。
長身、リーチに恵まれ、鋭いワンツーから下に返す左ボディに必殺の威力を秘める。
その試合ぶりを何試合か見た人いわく「単に倒すだけじゃない。相手がことごとく大の字か悶絶するか」
という感じだそう。
対する清瀬はKOこそ少ないが、攻防共に堅調で、よく動いて外し、攻める丁寧なボクシングが良い。

この日出た青コーナーの選手中、一番の大応援団から声援を受けた水野、花道を満面の笑顔で駆け抜ける。
初回、水野余裕の表情で見ている。仕掛けるのは常に清瀬。よく動き、右から入ったり、左返したりとヒットを取る。
2回、水野出て右ストレート、しかし清瀬同じパンチをリターン。水野は得意の左ボディをのぞかせるも、
清瀬はよく動いて水野の手数を封じ、再三右を当てる。水野カット、パンチによる。

3回、水野は「そろそろ捉えないと」という風で攻めるも、ミスも目立つ。清瀬は良いペースだったが、
やや打ち気が出たか、動きを止め加減で打ち合う。ここはパワーでまさる水野が有利。
清瀬左フック好打も、水野が右、左ボディやアッパーで打ち勝つ。
4回、両者激しい打ち合い。水野アッパーに左ボディ、清瀬アッパー返すも水野がスリーパンチ。
清瀬右決めるが、打ち合いでまたも水野がまさる。
5回、清瀬は連打、右カウンター。水野は手数を増やして追う。清瀬単発ながらリターンパンチが決まる。
水野は懸命に右や左ボディを繰り出すが、清瀬奮起して応戦、打ち合い、ゴング。

さうぽん採点は48-47、清瀬。公式採点は同スコアが二人、あとは48-48でした。


水野は試合前から余裕の笑顔で、立ち上がりもまるで「いつでも倒せる」と言わんばかりでした。
言ってはなんですが、相手も馬鹿じゃない、西のトーナメントを勝ち上がってきた選手なわけで、
しかもこれだけ映像資料が豊富な時代において、当然研究もされ、対策も練られ、さらにいうなら、
強敵相手に勝つために、普段以上の猛練習を積んでくるとしたら、これまでのようにはいかない、という発想が
その様子や試合ぶりから、傍目にはまったく感じられなかったのが残念でした。
ことに序盤の失点は致命的で、そのせいで終盤も、相手の粘りを引き出してしまった感がありました。

対する清瀬は、何試合か過去に見て、突出したものは感じないかわりに、全体的にまとまっていて、
よく頭の位置を変え、足も使ってよく動き、手数も出る好選手だとは知っていました。
強敵相手に萎縮せず、スタートから集中していて、攻め込まれて足が止まる場面も乗り切り、
最後までやるべきことを全てやりきって勝った試合ぶりは予想以上で、大いに称えたい、見事なものでした。

全日本の相手は技巧の長身サウスポー武田航。
今回とはまったくタイプの違う、しかしまたも強敵ですが、全力ファイトに期待です。


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スーパーバンタム級
金井隆明(ロマンサ雅) 9戦6勝(3KO)3敗
伊藤真嗣(蟹江) 7戦4勝(1KO)2敗1分

金井2-1判定勝ち。
初回伊藤がジャブを決めるが、終盤金井が右から連打。2回、金井が出るが伊藤の右カウンター。
3回、金井が手数で押す。4回、打ち合いになり、伊藤が右ダイレクトを決める。
5回、伊藤がジャブ、右アッパーなどで抜け出す。金井は左フック好打するもミス多い。

さうぽん採点は48-47伊藤。公式採点は割れていました。
金井の全日本の相手は、東の決勝で初回KOを決めた市村蓮司。
初回KOだから強く見えるのは当然ですが、右クロスの威力はなかなかのもので、
まずは立ち上がり捉まらないように注意して、粘り強く闘いたいですね。


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フェザー級
永野祐人(グリーンツダ) 5戦5勝(2KO)
仲里周磨(ナカザト) 4戦4勝(3KO)

仲里5回KO勝ち。
永野は低い構え、目で外して、カウンターを狙う変則気味なスタイル。
仲里は小柄な父君と違い、大柄で長身。
初回永野がカウンターを見せ、仲里は手が止まる。2回仲里は右のダイレクトを決め追撃。
3回以降、仲里は硬い印象だったがほぐれてきたか、手数が増え左ボディ、右が決まり出す。
永野は徐々に失速。5回、右から左の返しが決まって永野ダウン、KO。

巧いカウンターで仲里を苦しめていた永野ですが、最後は仲里のパワーが出た一戦。
仲里は全体的に硬く、左リードの数も足りないですが、いったん流れにのれば、
抜群の体格と強打が生きます。良い展開になれば、全日本でも期待できそうです。


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スーパーフェザー級
中谷有利(グリーンツダ) 6戦6勝(5KO)
ファイン新井(関門JAPAN) 7戦5勝(1KO)1敗1分

中谷2-1判定勝ち。
初回、長身の中谷、ジャブを突かず新井に接近され、ガードで顔を覆い、そこから打ち合う。
右ストレート、左ボディアッパーを強振するが、新井が再三右を決める。
中谷の反撃は単調で、同じパンチを強振するばかり。初回にしてもうフォームが崩れている。
2回、中谷右ストレート、新井も返す。打ち合いになる。
3回、中谷リーチを生かせず打ち合う。派手なヒットもあれば、派手なミスもあり。
新井はこつこつ当てて反撃。
4回、両者右アッパー、左ボディ、コンビを互いに決め合う打ち合い続く。パワーでやや中谷か。
5回、さらに打ち合い続く。正確さでやや新井か。

判定は割れていました。さうぽん採点は迷う回を振り分けて48-47、新井。

しかし、判定どうこう以前に、中谷のボクシングに対する心配が、この試合の全てでした。
自分のパンチが決まれば相手が倒れるという前提で試合をしていて、その先の備えが何も無い。
ジャブを出さず、動かず、距離を作らず、同じパンチを繰り返し強振するだけ。
少ないラウンドだからなんとか収拾がついていますが、新人王トーナメントを終えて、
こんな調子で闘っていったら、その先に何があるかは目に見えています。

この日、会場に向かう道すがら、東日本新人王、MTジムの石川元希の姿を見かけました。
当然、中谷の試合を見に来たわけでしょうが、彼の目にはこの試合、どのように映ったんでしょうね。
うまい具合に油断してくれたらええなぁ、というくらいしか、思うことがありません。


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ライト級
松村智昭(グリーンツダ) 5戦5勝(3KO)
市川大樹(駿河男児) 6戦6勝(4KO)

松村3回KO勝ち。
強打の全勝対決。共にがっちりして良い体格。
初回、松村が左右のフックで仕掛ける。当てては動く、良い流れ。
2回やや膠着、揉み合い増える。市川徐々に立て直しているかに見えるが、
3回、松村の右クロスがクリーンヒット、市原後方へダウン、後頭部をキャンバスに打ち付ける。
痛烈なノックアウト。一時は関係者総出で市村を介抱、担架も出たが使用はされず。

MVP受賞の松村、全日本の相手は柔軟な動きが持ち味のサウスポー中嶋龍成。
巧くてやりにくそうな相手だが、ちょっとスタミナに不安もあり?という印象でした。
強打を狙いすぎず、ボディを攻めるなどして、止めてから狙えたら最高ですね。
なかなか簡単にはいかないでしょうが。


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スーパーライト級
福山一磨(森岡) 12戦5勝4敗3分
藤田光良(鹿児島) 8戦6勝(3KO)2敗

藤田2-1判定勝ち。
サウスポー藤田が左ストレートを上下に決めてリード。福山はパンチの正確さに欠ける。
4回、福山の右から攻勢、藤田少しバランス崩す。5回、藤田やや疲れか失速気味。
福山果敢に手数を出すも逆転ならず。

左のタイミングに目を引くものがあった藤田ですが、全日本の相手は東のMVP、河田神二郎。
柔軟そうな筋肉を持つパンチャーです。巧く空転させるためには、まずスタミナ強化が大事でしょうか。


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ウェルター級(4回戦)
ジラフ麒麟神田(千里馬神戸) 6戦5勝(3KO)1敗
斉木新悟(コパン星野) 3戦3勝(3KO)

神田2-1判定勝ち。
初回、長身、大柄な神田は左を前に伸ばした構えをレフェリーに注意される。たしかによろしくない。
2回、斉木はリーチに阻まれなかなか入れない。神田はたまに長い右ストレート伸ばす。
3回、斉木が前に出て攻める。ヒットはわずか。4回、神田が足使い、ジャブ、右を出す。

あまりこういうことは書きたくないですが、内容に乏しい試合。判定は「どちらとも言えません」という感じ。
誰も彼もがそんな、傍目の思うように出来たら苦労ないわ、ということは承知の上で敢えて言いますが、
せっかくあんな良い体格をしているんだから、遠くからジャブを正確に当てられたら、それだけでどんなにいいか。
今後の改善に期待します。


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ミドル級
ロックハート・ブランドンシェーン(森岡) 8戦5勝(4KO)3敗
冨尾紘毅(冷研鶴崎) 11戦5勝(5KO)6敗

ブランドンシェーン4回KO勝ち。
初回、筋骨隆々の小柄なブランドンシェーンが右フックを振って攻めるが、富雄右合わせて
ブランドンシェーンが膝をつく。判定はスリップ。この辺はよくわかりませんでした。
3回、富尾が前に、細かく連打。ブランドンシェーンが左、右フック。
4回、ブランドンシェーンの右フックがカウンター気味に決まり、富尾ダウン。
終わったかと思ったが富尾立ち上がる。場内騒然。しかし再開後追撃2発でストップ。

柔軟さには欠けるが強打はさすがのブランドンシェーン。全日本はまだ2勝1分のキャリアしかないが
アルバニア人の37歳ボクサーとして話題になったアルティン・ペパを破った長濱陸が相手。
ここはキャリアの差を生かして、強打を決めて欲しいところ。
長濱は東日本、全日本と新人王決勝で外国人ボクサーと連戦です。これは珍しいような気が。


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そういうことで、つらつら書いてたらえらく長くなってしまいました。やれやれ。
まあ覚え書き半分ということで。
判定に関する見解は、見方はそれぞれ、ということでご了承願いたいところです。
今回はけっこう良い席で見られたんですが、だからといって試合の全景を余すところなく見られるか、
というと、そうとも限らなかったりもしますし。

しかし、何よりも残念だったのはスーパーフライ級ですね。
事情に違いはあれど、東と西がそれぞれ、決勝戦なしで代表が決まったわけですから。
ひどい話になってしまったなぁ、と残念です。梶颯vs平野拳生、見てみたかったなー。
(よく考えたら私、両方とも会場に足運んでは空振り喰らってるんですよね。とほほ、です)


ということで、来月の全日本決勝ですが、ありがたいことにG+で生中継があるので、大いに楽しみです。
西軍の勝算いかに、という話については、当たり前ですが階級ごとに違ってきます。
その辺は今回、それぞれの戦評にも書いたり書かなかったりしましたが、
あまり深く突っ込まず、行間を読んでいただけたら、というところで逃げて(笑)各選手の健闘に期待します。