内藤大助、中国人ボクサー初の世界挑戦者、熊朝忠に大苦戦の末判定勝ち。
予想に反して、見てて疲れる試合になりました。
まず挑戦者ですが、馬力と勇気は大したものでした。
しかし、ボクサーとしての技術的な面には見るべきものはなく、
とりあえずフックを振り回し、くっついたらインサイドから頭、
アウトサイドからフックという、何とも素敵な組み合わせ。
まあ、いかにもありがちな感じで、初回見た時点でげんなりしました。
誰がどういう指導してんのか知りませんけど...。
ところが小さいけど、案外フックが伸びました。
下がる相手を追って、身体を伸ばして飛び込んで打つフックが、
時に良い感じでナックル返ったとこで内藤大助を捉えました。
相手が格下、勝って当然と見られる相手に苦戦というと、
先の名城信男vs富山浩之介戦が記憶に新しいところです。
格下、勝って当然と見られる相手、しかし世界戦ということで気合い満点の相手に、
力の差を見せつけて勝つ、というのは、実は思いの外難しいことです。
しかしそこに加えて、熊朝忠に関して、充分研究するだけの資料もなかったでしょうし、
熊は思った以上に頑丈で、蛮勇とも言える果敢さがあり、馬力もありました。
そして、今回の試合は試合自体が決まるのも遅れ、しかも直前に開催地変更があり、
内藤にも動揺があったことでしょう。
ただ、そういう風に頭で考えて納得はしているつもりでも、
6回のダウン、8回、11回の被弾など、あまりにも危ない場面が続き過ぎ、とも思います。
相手が怖いもの知らずで振り回してきて、フェイントかけても有効じゃないと見たら、
ボディーワークやフットワークで外すのでなく、しっかりガード構えてジャブで突き放す、
という切り替えが出来ない、或いはしない、というのでは、ちょっと不安です。
そのくらいのことを出来ないような、甘いキャリアの選手じゃないはずなんですが。
両目の負傷、苦戦、本人もかなり落ち込んでいるようでした。
急遽開催が決まったディファ有明にかけつけた、思いの外大勢のファンも、
ちょっとがっかり、という感じではなかったかと思います。
しかし、この苦戦を良薬に、次の対戦相手として有力視されているという
ポンサクレックとの5試合目に臨んでもらいたいです。
内藤のボクシングは、打倒ポンサクレックを目的に作り上げられたという面があり、
その特殊なボクシングは、熊朝忠のような選手のボクシングとはとはまた関係ないところで
その強みを発揮すると思います。
今回の反省を次に生かし、今回やや落としたであろう評価を取り戻してもらいたいものですね。