川端賢樹、引退だそうです。
MRI検査を受けた結果「脳動脈瘤」が発見され、引退を余儀なくされたとのことです。
姫路の脱穀機じゃなくて爆撃機と言われた川端賢樹。
彼は、地方ジムのハンデをものともせず、後楽園ホールからタイ、グアムなど海外まで、
場所も相手も選ばずに出掛けていって闘い続けました。
そういうキャリア、闘いを可能にしたのは、短躯のファイターながらも防御が巧く、
力強さと巧さを兼ね備えた、彼の実力にこそあったのでしょう。
どの試合も外れのない、見に行って間違いのない選手、それが川端でした。
もっとも印象深い試合としては、兵庫県の新宮という町で行われた、
WBCフライ級インター王者のランディ・マングバット戦を挙げたいと思います。
まあ、よそ様の町を田舎と呼べるようなところには住んでいない私ですが(^^)
とにかくなかなかにすごい田舎町でした。
緑豊かな山々を眺めつつ道を歩いていると、思わず松山千春の昔の歌を口ずさんでしまうほどで、
そんな町の、田んぼの中に立つフツーの体育館において闘われた、
世界挑戦経験者の川端と、これまた後に世界戦のリングに立つマングバットとの
激しい打ち合いは、未だに印象深いものがあります。
この強敵に競り勝ったことを評価された川端は、ランキングを一気に上げて、
念願の日本タイトル奪取に繋げました。
その後、三度挑んだ日本バンタム級タイトルに、もう一度挑もうと決意した矢先、
今回の引退となったわけですが、まだ闘おうと決めていたとは、
今回、姫路木下ジムのHPを見るまで、知りませんでした。
しかし彼が38になろうが45になろうが、リングに上がって闘っていれば、
それこそ和製ホプキンス、ホリフィールド、古いとこならアーチー・ムーアにでも例えて、
別に驚きもせず、その姿を見て、普通に観戦し、応援していたと思います。
昨年の、親族の不幸を乗り越えて挑んだ大場浩平戦を思い出せば、それで足ります。
ベテランならではの鋭い狙いと、ベテランらしからぬパワフルさを兼ね備えたカウンター、
2Rの左フックの一撃は、川端賢樹というボクサーの強さ、巧さ、怖さを端的に表現していました。
実際、彼が何歳だとか、もうエエ歳したおっさんやのに、とか、そんなことを
彼の試合を見ていちいち思ったことがありません。
もちろん実際はあちこち悪くて、調整も大変だったのでしょうけど、
彼は常に力強く、巧く、果敢で、見る者に余計なことを考える余地など与えませんでした。
それが川端賢樹でした。今思えば、彼こそ、真のプロだったんでしょうね。
強く、巧く、逞しく、でもちょっと勝ち味が遅く、運にも恵まれなかったかもしれませんが、
強敵相手に数々の好ファイトを繰り広げた、一級品のファイターでした。
もうその闘う姿を見られないと思うと、昨年、無理をしてでも名古屋に行って
結果的にラストファイトとなった、大場戦を見ておいて良かったと思います。
川端選手、本当にお疲れ様でした。
良い試合をたくさん、本当にありがとう、という気持ちです(^^)