がらりと変えてきたが、成否はまだ先 那須川天心、三戦目でTKO勝ち
ということで海外では、事実上「発表」やなあ、ESPNやし...という大きな話題も出ていますし、フィリピンでのサルダール、栗原再戦のU-NEXTライブ配信も、今日の17時半からです。
しかし、とりあえずAmazonPrime配信試合の感想、残りについて、簡単に。
スーパールーキー、というかルーキーにしてスターの那須川天心、デビュー三戦目で、初のTKO勝ち。
相手のルイス・ロブレスが、3回終了後、右足首を傷めたらしく、棄権して試合終了でした。
しかしそれまでの闘いぶりは、少々驚き。那須川は闘い方をがらりと変えてきました。
今までは動いて外し、見て迎え撃ち、という型が中心でしたが、足を止めて構え、右リードから後続の左に繋げる正攻法。
相手のロブレスが迫力に欠けるということもあったかもしれないが、自信満々に打っていく。
しかも、左のパンチ、序盤から確率の低い上へはあまり打たず、踏み込み一つで打てるボディブローが多い。この辺の狙いも良い。
断続的に攻め、徐々に追い詰めて行く流れで、好打もあった3回を終え、これは倒せるだろうなあ、と期待したところで、試合は尻切れトンボに終わったのが残念でしたが。
ただ、攻撃的な闘い方に変えたことで、総じて好評を得ているようですが、その成否はこの試合だけでは何とも言えないところ。
見た感じ、ロブレスは痩身なりのやりにくさが持ち味の選手と見えたが、ベストはやはりバンタムであろうし、前日計量時に体重が揃っていようとも、リングに上がった時点で「戻し」に差があったことは、一目見て明らか。
確実に3ポンド分の圧力、パンチ力に差があり、那須川が落ち着いて打って行けたのも、その前提あればこそ、でした。
もし相手と体重が揃い、より防御技術の精度や、的確な判断が求められる段階の相手と当たったときに、同じような構えで闘い、それを押し通せるものかどうか。
例えばパンチが綺麗に入り、確実に効く、という前提がなくとも、それでも自分の構えを崩さず、攻撃的に長いラウンドを闘い抜けるのかどうか。
それこそ、ユーリ阿久井政悟のように。
もちろん、現段階で那須川天心に対し、そういうレベルの話を持ち出すのは、不適切です。
今回の変化は、基本的にはポジティブに見られるでしょうし、それにある程度までは同感でもありますが、今後、バンタム級に「落とす」方針も明らかになる中、どういう闘い方をしていくのが良いのか。
自分から攻めていくとなれば、当然、攻防の密度が上がる。そのとき、減量の影響がどう出るものか...成否はこの先、ですね。
与那覇元気vs辰吉寿以輝の8回戦は、辰吉の判定勝ちでした。
与那覇は左右ボディブロー、右クロスに、ミスもあったが右アッパーも見せ、積極的に攻めていましたが、辰吉が振りの小さい連打、左フックの好打などで抜け出した、という印象。
辰吉はこれで日本ランクに入る可能性大、です。
アマチュア経験がなく、プロキャリアがイコール、ボクサーとしての全キャリアである選手としては、なかなかのレベルにまで来ている、というのが、全体的な印象です。
昔は俗に言う「プロ叩き上げ」が普通でしたが、このご時世で、ここまで来ていることには、一定の評価があって然るべきでしょう。
一部には那須川天心との対戦が取り沙汰されているようで、この試合はその一戦に向けてのテストだった、のかもしれません。
辰吉は、バンタム級に落とすのは難しそうで、120ポンドかその辺での、キャッチウェイトになることでしょう。
言えば那須川が本当に118に落とす過程で闘うのに丁度良く、話題性のある相手、というところか。
今年は4試合くらいやりたい、という那須川の言によるなら、その中にこういう試合が含まれるのも、いかにもありそうな話です。しかし実際どうなるものか...ちょっとわかりませんね。
敗れた与那覇元気、こちらはルイス・ロブレス同様、ベストはバンタムの体格で、辰吉との比較で言えば、強く打たねば対抗出来ず、振りの小さいパンチで、同じだけの威力が出せる辰吉にパワー負けした感がありました。
思えば那須川との試合も、同様の構図だったと言えましょう。懸命の闘いでしたが、残念な結果でした。