王座の価値を高める難敵撃退 八重樫東、強豪ソーサを退けた!
ということで、今日は(もう昨日ですか)両国国技館で観戦してきました。
見どころ満載の興行で、どのカードも充実した試合ばかり、
満足度の極めて高い観戦となりました。
ゴールデンタイムで、延長放送枠もたっぷり取ったディレイ中継は、
かつてフジテレビがK1で行っていた形ですが、
大人気だった頃のK1には及ばずとも、少しでも多くの視聴者に、
いろんな選手の試合を見てもらえる良い機会になってほしいと願います。
さらにいうなら、何も浪速のゴチャ親子だけがボクシングではない、
あれはもはや、スイカ食う前に塩を舐める程度の意味すらないのです、
という真っ当な理解が、少しでも広まってほしい、とも。
それはさておき、今日はメインイベントの感想。
八重樫東、1位のシルバー王者、エドガル・ソーサを大差で破っての防衛でした。
最終回3分間の打ち合いを見てもはっきりしていましたが、
まともに打ち合えば、八重樫はソーサには勝てなかったでしょう。
しかし、だからといって単に逃げ腰では、いずれ捉まって打たれる。
全てを重々承知していたのでしょう、八重樫は終始足を止めずに動き、
しかし危険な距離になったと見たら、先手のヒットを取り、
それがかなわず打たれた時は、即座に厳しくリターンパンチを返して相殺し、
さらに追い打ちをし、着実に序盤からポイントのリードを積み重ねていきました。
このパターンを、レベルの高い集中力でもって最後まで実現した八重樫に対し、
ソーサも焦ってフォームを大きく崩しはしませんでしたが、
自分のパンチが一番効く距離を丁寧に外し続ける八重樫を捉えられず。
最終回の打ち合いでやっと実力の片鱗を見せたものの、
大半のラウンドでリードを許し、明白な敗戦となりました。
公式採点は3-0、私も117-111で八重樫と見ました。
長らくポンサクレック・ウォンジョンカムの王朝が続き、
それを攻略した内藤大助が、やや内向きの挑戦者選定を続けてしまい、
最後に亀田興毅に不覚を取った後、ポンサクレック奪還、
そして伏兵ソニーボーイ・ハロ、五十嵐、八重樫という変遷をたどった
WBCフライ級王座でしたが、八重樫が今回、強豪ソーサを下したことで、
この王座は若干下降気味だったと言わざるを得ない価値を、
ポンサクレック在位時のレベルまで再び持ち直した、と思います。
八重樫はこの王座にふさわしい王者であることを、自身の手で証明しました。
今回の試合は一見、地味な攻防に映ったかもしれませんが、
少しでも水漏れがあればそこを即座に突いてくる強敵ソーサ相手に、
心技体全てにおいて充実した八重樫が、ほぼ間違いのない対応を重ねていく様を
終始見ることが出来ました。非常に見応えのある12ラウンズだったと思います。
そういうことで、見どころ十分の興行を締め括るにふさわしい、見事な王座防衛でした。
八重樫東の今後には、色々賑やかな名前が並ぶかも知れませんが、
誰が来てもこの王者を攻略するのは容易ではないでしょう。
少なくとも、彼が手にする王座の価値は、揺らぐことのない、千金のものです。
そう思える、信じるに足る王者が、新たに生まれました。
八重樫東の勝利に、心から、盛大な拍手を送りたいです。