夕刻、とあるお店で友人たちと会食しながら見ておりました。
このお店にはかなりの大画面TVが設置されていて、それを正面から見られる席だったので、
実況解説は聞き取りにくかったものの、きちんと試合映像を見ることが出来ました。
判定ですが、TVで見ていた限り、坂田の勝ちはないように思いました。
会場で見てきた人の意見だと、そうとも言い切れないような話も聞きましたが、
私は、差の大小はともかく、批判されなければならないような判定ではないと見ます。
負傷のハンデもあったとはいえ、坂田にはもうちょっと何とかなった試合ができないものか、と苛立ちました。
相手のジャブを安易に食いすぎるし、往時のように、相手のサイドに食いつく巧みさも執拗さもない。
さらに、クリンチの際はもっと巧く立ち回って打ち、防御しないことには...
いつまでも昔のように無尽蔵に体力があるわけでもないのに、それを補う何かを用意した形跡がない。
良さが衰え、悪いとこは全部そのまま。何だこれは、と率直に言って失望しました。
亀田大毅がこの試合の勝者であることには、異議はありません。
しかし、この程度の実力で世界タイトルマッチと名のつく試合に勝てる、勝ててしまう、
そのこと自体に諦念を抱く試合振りは、こちらも今までどおりでした。
私は以前、この選手は本当なら世界戦に辿り着くまでの、どこかの段階で淘汰されていて然るべき選手だ、
と書きましたが、その私の考えを変える何かは、今回の試合でも見出せませんでした。
このWBAフライ級は、正規王者が彼で、暫定王者がルイス・コンセプションなわけですが、
実力的には暫定王者コンセプションの方が遥かに上です。誰の目にも明らかなことです。
そして、現状では彼がコンセプションとの統一戦を闘うことは決してないでしょう。
闘おうとはしないでしょう、と書くのがより正確かもしれません。
王者の証明、というような言葉は、きっと彼(彼ら)には、何の意味も持たないことでしょうから。
彼は、それで通る、通してしまう「彼ら」の力と意志、それを許す世界的なボクシング業界の荒廃が
産み落とした、時代の鬼子とでもいうべき存在なのでしょう。
見終えた後、なんとも空しい気持ちになった試合でした。
双方の闘いぶりに、感心できるものを見出せなかったのも確かですが、
この、認定機関に世界タイトルマッチと認められ、しかし少しでも興味を持って
ボクシングを見ている者誰もが、これはそんな試合ではないとわかっている試合に
いったい何の意味があり、その先に何があるのか、さっぱり見えてこないから、です。
少なくとも、TBS系列で扱われる一連の粗悪品タイトルマッチは、来月、再来月と続く
西岡や長谷川のやる試合とは、別物と考えて間違いないでしょう。
とりあえず、気持ちを切り替えて、来月以降のビッグマッチを楽しもう、と思っています。
そういう割り切りが出来たことがせめてもの幸いだったのかも知れません。