順当勝ちでも無傷で済まない、ヘビー級の過酷 ジョシュア、ヘレニウスをKO




日曜日のライブ配信、もうひとつ感想。DAZNのヘビー級戦です。
アンソニー・ジョシュアは、ディリアン・ホワイトとの再戦(初戦は世界王座獲得前の若手時代)を闘うはずが、ホワイトのドーピング失格か何かで、相手変更。
ロバート・ヘレニウスは5日に試合したばかり、という状況でしたが、代役を受けました。


さすがにベストな状態のわけもなく、どう見ていいものか、というしかないヘレニウスでしたが、ジョシュアが慎重にジャブ、右ストレートを遠目から当てて、急いて攻めずに見て、また当てて来る、という流れで、出来ることは限られている。
大柄な者同士、ジャブの応酬、ワンツーや右クロスがせわしく飛び交うようなら、ヘレニウスにも目はあったかもだが、やはりジョシュアが慎重に闘うと「間違い」の確率はその分、下がる。
徐々にダメージを溜め込んだヘレニウスに、ジョシュアは慎重ながら徐々に攻めを強め、7回に右のワンパンチKO。
まずは順当に、代役を沈めた、という試合でした。


倒した直後に下品なジェスチャーをしたり、いきなりリング下に降りていって観客と喜び合ったりと、何かと落ち着きが無いというか。
かつてウラジミール・クリチコ戦の劇的勝利でもって、大物投資家たちにDAZNの立ち上げや投資を決意させた、なんて話があった頃の、理想的なスターボクサーとしての面影は消えつつある?印象ですが、それでも王者クラスに次ぐ実力は見せました。
問題は、取って代わる可能性を示せたかどうか、ですが、それは今回の試合、その内実からすると、微妙なところではあります。


しかしこのような試合であっても、ヘレニウスのジャブが顔面を捉えると、ジョシュアの顔からは出血が見えた(鼻血?)し、対するヘレニウスもジョシュアの重いパンチを単発とはいえ浴び続け、こちらも出血。
ヘレニウスの方は、インターバル中、その衝撃、ダメージからか、半ば平静を失っているような様子もありました。
勝ったジョシュアも、敗れたヘレニウスも、勝ち負け以前に、ヘビー級の過酷そのものの世界に生きている。
ヘビー級とは、人間の枠を越えた怪物の世界なのだ、と改めて実感するところです。



ジョシュアの次は、デオンテイ・ワイルダーとの試合だそうですが、まあ言えば旬外れ、というところかもしれません。
オレクサンデル・ウシクとタイソン・フューリーの試合も、いつまで経っても...というか、主にフューリーの都合が整わねば、実現はしないのでしょう。
しかし、彼らが生きるのがヘビー級の世界だからこそ、多少の(多々、かもしれませんが)気持ちが萎えるようなしょうもない話の末、であったとて、いざこの辺りの試合が実現すれば、やはり大勢がそれを見る、というのもまた、事実ですね。